
今回のお車はフォレスターSJ5。平成26年式、走行距離175,861kmの一台です。
長野県飯山市にお住まいの個人のお客様で、お困りの症状は「乗り始めてすぐに警告灯がいくつも点灯する」というもの。エンジンをかけて走り出すと、ほどなくAT OIL TEMPをはじめ、アイサイトやVDC、ABSの警告までメーターに並んでしまうとのこと。
これだけ一度に警告が出ると、「ミッションもブレーキもアイサイトも、全部壊れてしまったのでは」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、原因はCVT内部にあるロックアップソレノイド1個の不良でした。ソレノイド単体の交換で、すべての警告が消えています。
車両情報・ご依頼内容
今回はご加入の自動車保険のロードサービスを利用して、長野県飯山市から積載車でのご入庫となりました。

● 車種:スバル フォレスター(DBA-SJ5)
● 年式:平成26年
● 走行距離:175,861km
● 症状:乗り始めてすぐに警告灯が多数点灯
● ご依頼内容:警告灯の原因診断と修理
入庫後、まずは確認走行から。走り出してすぐに警告が点灯し、症状はしっかり再現しました。

マルチファンクションディスプレイにも、点検を促すメッセージが次々と表示されます。


このほかにも、ABS、VDCシステム、ヒルスタートアシストの点検を促す表示が出ていました。ミッションだけでなく、ブレーキや運転支援まわりまで警告が広がっている状態です。
診断と原因特定
診断機で車両全体をスキャンして、各システムに記録されたエラーを確認していきます。

検出されたDTC
中心となるのは、トランスミッション(TCM)に記録されていた次のコードです。
P2764 ロックアップソレノイド系回路(Low)
あわせて、ほかのシステムにも次のコードが記録されていました。
● B2801 TCM異常(アイサイト)
● B2809 VDC異常(アイサイト)
● C1431 AT(ABS)
このほかにも過去の履歴コードがいくつか残っていましたが、今回の症状とは関係のないものです。
なぜアイサイトやVDCまで警告が出るのか
警告の数だけ故障箇所がある、というわけではありません。
スバル車では、ミッションを制御するTCMと、アイサイト、VDC(横滑り防止装置)、ABSなどがお互いに情報をやり取りしながら動いています。ミッション側に異常が出ると、関連するシステムも安全のために機能を制限し、それぞれが警告を出す仕組みです。
実際にレポートを見ても、アイサイト側には「TCM異常」、ABS側には「AT」と、ミッション側を指し示すコードが記録されています。ざっくり言うと、大元はミッションの1か所で、ほかの警告はそれに連動して出ていたわけです。
ちなみにAT OIL TEMPの警告灯は、フルードの温度が高くなったときに点灯するほか、CVTに異常があるときには点滅して知らせる仕組みになっています。
ロックアップソレノイドとは
CVTは、トルクコンバーターを介してエンジンの力をミッションに伝えています。発進時はオイルの流れを使ってやわらかく力をつなぎ、ある程度スピードが乗ると「ロックアップクラッチ」でエンジンとミッションを直結させて、滑りによるロスをなくします。
この直結の切り替えを油圧で制御しているのが、ロックアップソレノイドです。いわば「直結のオン・オフを受け持つスイッチ役」のイメージです。
P2764は、このソレノイドの回路で、信号が想定より低い状態を検知したときに記録されるコード。スバルのCVT車では当店でもこれまで何台も修理してきた、見慣れたコードです。
ソレノイドはバルブボディに取り付けられているので、バルブボディを取り外し、抵抗値を測って裏付けを取っていきます。
作業内容
まずはエンジンルームの上側から、バルブボディカバーまでたどり着くところから。

さて、カバーを外していきます。

続いて、バルブボディを慎重に取り外します。


こちらがロックアップソレノイド。テスターで抵抗値を測定していきます。

基準値の12Ωに対して、実測は4.0Ω。3分の1程度しかありません。
ソレノイドは、内部のコイルに電気を流して作動する部品です。一般的に、抵抗値が基準より大きく低い場合は、コイル内部の絶縁が傷んで巻き線どうしがショートしかけている状態(いわゆるレアショート)が疑われます。こうなるとソレノイドは正しく作動できなくなります。
ロックアップソレノイドの不良で間違いないので、交換作業を進めてまいります。

取り付ける前に、新品のソレノイドも測定しておきます。


新品のソレノイドに交換したら、ガスケットも新品に替えてバルブボディを組み付けていきます。


交換したのはソレノイド1個だけ。バルブボディAssyごと交換する方法に比べて、部品代を大きく抑えられるわけです。
仕上げ・確認作業
ソレノイドを交換したあとは、診断機でAT学習をやり直します。学習値を一度クリアし、車両をリフトアップしてサイドブレーキを引いた状態で学習モードを実行していきます。

そして試運転。入庫時は走り出してすぐに点灯していた警告ですが、今回は──
嘘のように、どの警告も点灯しません。

最後にもう一度、車両全体をスキャンして確認します。

ミッションだけでなく、アイサイトやABSに記録されていたコードも含めて、エラーはゼロ。大元のロックアップソレノイドを直したことで、連動して出ていた警告もまとめて消えたわけです。
これで修理は完了となります。
今回の作業まとめ
● 車種:スバル フォレスター(DBA-SJ5)
● 年式:平成26年
● 走行距離:175,861km
● 入庫:長野県飯山市より、自動車保険のロードサービスで搬送
● 症状:乗り始めてすぐにAT OIL TEMP・アイサイト・VDC・ABSなどの警告が多数点灯
● DTC:P2764 ロックアップソレノイド系回路(Low)ほか連動コード
● 原因:ロックアップソレノイドの不良(抵抗値4.0Ω/基準値12Ω)
● 作業:バルブボディ脱着、ロックアップソレノイド交換、ガスケット交換、AT学習
● 結果:警告灯はすべて消灯、全システムDTCなし
ご依頼ありがとうございました。
丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業にどうしても時間がかかってしまいます。
急いで作業を行えばヒューマンエラーにもつながりますし、ミスを無くすためにも3日から1週間程度のお時間をいただいております。
どうぞご協力お願いいたします。
● 初めての問い合わせで不安な方
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経験豊富な整備士が適切なアドバイスをいたします、遠慮なさらずにお問い合わせください。
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