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「AdBlueシステム故障 緊急モードまで」が消えない|ベンツGLB200d(X247)の原因と対処【P202E71】

「AdBlueシステム故障 緊急モードまで794km」。メルセデスベンツGLB200d(X247)のメーター中央に、このメッセージが出たまま消えなくなっていました。

最初のご連絡はお電話で、その後すぐにお問い合わせフォームからも「緊急モード表示が出てます」とのご連絡をいただきました。さいたま市内のお客様で、ご加入の自動車保険のロードサービスを使い、当社スタッフが積載車でお迎えに上がっています。カウントが減っていくのを見ながら自走してくるより、このほうがずっと安心ですしね。

2021年式、走行44,586km。まだまだこれからという年式と距離ですが、診断機をつなぐとAdBlueを噴射する「メタリングバルブ」の作動不良を示すコードを筆頭に、4件のエラーが記録されていました。

入庫の経緯と症状

今回のお車はメルセデスベンツGLB200d(X247/3DA-247612M)。年式は2021年3月、走行距離は44,586kmです。

入庫したメルセデスベンツGLB200d(X247)

積載車で入庫したGLB200d(X247)

GLB200dのメーターに表示されたAdBlueシステム故障 緊急モードまで794km

入庫時のメーター。「AdBlueシステム故障 緊急モードまで794km 取扱説明書を参照」の表示

この「緊急モードまで○○km」という表示は、ざっくり言うとエンジンの再始動が制限される段階までの残り距離です。AdBlueが減ったときに出る残量警告とは別物で、システム側の故障を検知して出ているもの。そのため、AdBlueを補充しても消えないケースが多いです。

表示が出たまま走り続けてよいのか、エンジンを止めてしまってよいのか。どちらも不安になる方が多いのではないでしょうか。今回のように、保険のロードサービスで積載車を手配できるなら、それがいちばん確実な方法です。

GLB200dのメーター左下に点灯したエンジンチェックランプ

メーター左下にはエンジンチェックランプも点灯

診断結果:検出されたDTC

GLB200dの診断機画面 トラブルコード4件

診断機で読み出したトラブルコード。4件が記録されていました

● P202E71(AdBlue メタリングバルブ1(シリンダバンク1)に機能障害があります。アクチュエータはブロックされています)
● P13DF00(AdBlueシステムに機能障害があります)
● P20F500(AdBlue 消費量が多すぎます)
● P20F57A(AdBlue 消費量が多すぎます。漏れあるいはシール不良が検知されました)

さて、4件とも現在発生中のエラーで、P202E71以外の3件はメモリ値としても記録されています。筆頭に出ているのが、AdBlueを噴射するメタリングバルブの「アクチュエータがブロックされている」というコード。そこに「消費量が多すぎる」「漏れやシール不良」というコードが重なっている構図です。

GLB200dのAdBlue関連の実測値データ

実測値の確認。AdBlueメタリングのステータスは「Not enabled」、走行可能距離予測は795km

ご覧のように、要求されたAdBlue配分量も、現在の配分量も0g。メタリングのステータスは「Not enabled」で、AdBlueの噴射が有効になっていない状態です。AdBlue走行可能距離予測の795kmは、メーターの794kmとほぼ一致しています。

一方で「機能’エンジン始動’の制限」はまだNot activated。始動制限は発動していないわけです。間に合ったと言っていいタイミングでした。

原因:AdBlueメタリングバルブの作動不良

『メタリングバルブ』とは、タンクから送られてきたAdBlueを排気管の中へ霧状に吹き込むバルブのことです。ドージングバルブ、AdBlueインジェクターと呼ばれることもあります。燃料を噴くインジェクターの、AdBlue版のイメージです。

吹き込まれたAdBlueは、その先のSCR触媒で排気ガス中のNOx(窒素酸化物)と反応し、窒素と水に分解されます。つまりメタリングバルブが思うように動かなければ、NOxの浄化そのものが成り立たないわけです。

今回は「バルブのアクチュエータがブロックされている」というコードに加えて、「消費量が多すぎる」「漏れあるいはシール不良」のコードが同時に出ています。バルブ周辺でAdBlueが正しく噴射されていない、あるいは漏れているとECUが判断した可能性が高いです。

ちなみにAdBlueは、乾くと白い結晶になる性質があります。噴射口のまわりで結晶が育つとバルブの動きを妨げることがあり、こうしたコードの組み合わせではよく疑われる原因のひとつです。

部品交換で直すとなると、バルブ本体だけでなく、漏れやシール不良が起きている箇所の特定も必要になります。AdBlue関連の部品はどれも安くはなく、タンク内のポンプやセンサー類にまで及ぶと30〜50万円位になることも。しかも部品の調達が困難で、本国にすら在庫がないこともあり、その期間は車の使用ができなくなってしまいます。

さらに、1箇所を直しても、しばらくすると別の箇所でエラーが出ることも少なくありません。いたちごっこになりやすいのが、AdBlueシステムの難しいところです。

お客様とご相談のうえ、今回はECUプログラムによるAdBlue調整で作業を進めてまいります。

解決策:ECUプログラムによるAdBlue調整

作業の流れは以下のとおりです。

① ECUの取り外し(静電気に注意)
② オリジナルデータのフルバックアップ
③ 読み出したデータの保存(複数箇所へバックアップ)
④ AdBlue制御を調整したデータの作成
⑤ 調整データの書き込み
⑥ ECUを車両へ戻し、診断機で最終チェック

GLB200dのエンジンルーム

GLB200dのエンジンルーム

GLB200dのECU搭載位置

ECUはエンジンルームの手前側、ウォッシャー液注入口の隣。コネクターが並ぶシルバーのケースがそれです

まずは静電気に注意しながらECUを取り外していきます。ECUのケースは開けず、コネクター経由で読み書きするBENCH接続での作業です。

取り外したECUをFLEXにBENCH接続した作業台

取り外したECUをFLEXにBENCH接続

Bosch MD1CP001への接続成功画面

ECUはBosch MD1CP001。接続が確立し「SUCCESS」の表示

続いてオリジナルデータの読み出しです。ここで取るフルバックアップが、万一のときに元へ戻すための命綱になります。

ECUのフルバックアップ読み出し中の画面

オリジナルデータのフルバックアップを読み出し中

読み出したECUデータの保存画面

読み出したデータを保存。データは紛失や消失しないように各所にバックアップをする体制を整えています

そして、読み出したデータを元にAdBlue制御の調整データを作成していきます。

ECUデータを解析ソフトで開いた画面

オリジナルデータを解析ソフトで開いたところ

調整データのアップロード画面

調整したデータを書き込み用にアップロード

ECUへ調整データを書き込み中の画面

内部フラッシュへ書き込み中

ECUへの書き込み完了画面

無事に書き込み完了。「SUCCESS」の表示

書き込みを終えたECUを車両へ戻し、診断機で最終チェックに移ります。

作業後の結果

作業後のGLB200dのメーター メッセージはありません

作業後のメーター。警告が消えて「メッセージはありません」ですって

嘘のように、あれだけ居座っていた緊急モードの表示が消えました。メーター左下のエンジンチェックランプも消灯しています。

作業後の診断機オートスキャン結果 故障なし

診断機のオートスキャン。ECM(エンジン エレクトロニック)を含めて「パス|故障なし」

最後に試運転をして、走行中の様子も確認。警告が再び出ることもなく、特に問題はありませんでした。これで作業は完了となります。

● 「AdBlueシステム故障 緊急モードまで794km」の表示が解除
● エンジンチェックランプが消灯
● 診断機のオートスキャンで故障なしを確認
● 試運転でも警告の再表示なし
● 部品待ちをせずに車両をお戻しできる状態に

よくあるご相談

「緊急モードまで○○km」と表示されたら、AdBlueを補充すれば消えますか?

残量不足による警告であれば補充で消えますが、「AdBlueシステム故障」とセットで出ている場合は、システム側の故障を検知しているため補充では消えないケースが多いです。カウントが0kmに近づくとエンジンの再始動が制限される段階に進みますので、余裕のあるうちに診断を受けることをおすすめします。

走行距離が少なく、年式も新しい車でも起こりますか?

起こります。今回のGLB200dも2021年式・走行44,586kmでの発生でした。新しめのお車の場合は、メーカー保証や延長保証が残っていないか、まずそちらを確認されるのが良いと思います。

表示が出たまま自走して持ち込んでも大丈夫ですか?

残り距離に余裕があれば自走での入庫も可能ですが、不安な場合は無理をしないのがいちばんです。今回はご加入の自動車保険のロードサービスを使い、積載車で引き取りました。ロードサービスの内容は保険会社や契約によって異なりますので、ご自身の契約内容をご確認ください。遠方の方は、ECUだけをお送りいただいて施工する方法もあります。

部品交換とプログラム調整、どちらを選ぶべきですか?

本来の正攻法は部品交換です。ただ、部品の価格や納期、交換後に別の箇所が故障する可能性などを踏まえて、プログラム調整を選ばれる方も多くいらっしゃいます。お車の状態とご予算、使い方に合わせてご提案していますので、まずはご相談ください。

今回の作業まとめ

● 車種:メルセデスベンツ GLB200d(X247/3DA-247612M)
● 年式:2021年3月
● 施工時走行距離:44,586km
● 入庫方法:自動車保険のロードサービスを利用し、当社スタッフが積載車で引き取り
● メーター表示:AdBlueシステム故障 緊急モードまで794km
● 検出DTC:P202E71/P13DF00/P20F500/P20F57A
● ECU:Bosch MD1CP001(BENCH接続)
● 作業内容:ECUプログラムによるAdBlue調整
● 作業後確認:診断機オートスキャン・試運転ともに異常なし

重要な補足説明

毎回お伝えしていますが、この作業は「修理」とは言えないと考えています。

NOx・AdBlueの部品は、どちらも高額なうえに欠品していることが多く、「直したくても直せない」状態でお困りの方を数多くお見受けします。そこで、プログラムを少し“調整”したり、部品が入荷するまで動かせないお車に限って、一部の機能だけを一時的に“撤廃”したりして、お車を使えるようにするのがこの作業です。

エンジンチェックランプが点いている原因がわかっていても、NOxやAdBlueの警告で点灯し続けている状態では、まったく別の重大なトラブルが起きても、ドライバーさんは気づくことができません。

そこで、過敏に反応する設定になっている“閾値(いきち)”に少しだけ幅を持たせ、チェックランプの点灯を一時的に抑えます。本当に重大なトラブルが起きたときに早く気づけるよう、チェックランプ本来の「お知らせ」の役割を取り戻すための作業です。

部品が欠品・納期未定で車が動かせない(スターターロックが作動してエンジンがかからない)ときなどに、部品が届くまでの一時的な緊急対策として行うものです。部品が入荷したら、元のプログラムに戻して部品を交換することをおすすめしています。ご依頼の際は、この点をご理解ください。

この技術は、まだ発展途上です

ほとんどのお車で成功していますが、ごくまれに、エラーが消えない、スターターロックが再び作動するといったことが起こる可能性は、ゼロではありません。

この作業ができるネットワークは、今では10社まで広がり、これからも広がっていく見込みです。お互いに情報を共有し、ときにはトライ&エラーを重ねながら、全員で前に進んでいます。

まだ完璧に仕上がった技術ではないため、その「ごくまれ」なケースに当たり、ご迷惑をおかけしてしまうこともあるかもしれません。そんなときこそネットワークを生かし、施工する仲間たちと知恵を出し合って、精一杯対応いたします。全員が本気で取り組んでいますので、温かく見守っていただければ幸いです。

もちろん、そうしたことが起こらないよう、日々学び、腕を磨き続けています。「依頼してみたい」と思っていただけたら、お気軽にお問い合わせください。

オートプラネット 篠塚

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ご加入の自動車保険(任意保険)のロードサービスを使って、ご自宅や現地から当店までレッカーで搬送できます。遠方の方もご相談ください。

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