
今回のお車はフォレスターSJ5。年式は平成26年3月、走行距離136,137kmのCVT車です。
長野県松本市のお客様から、ホームページのお問い合わせフォームでご相談をいただきました。届いた文面はこちら。
「ホームページ拝見しました。スバルフォレスターと全く同じ症状です。多分、CVTソレノイドバルブ故障修理 変速ショックや変速不良も P2762」
文中の「CVTソレノイドバルブ故障修理〜」は、当店の修理事例「フォレスター アウトバック エクシーガ レガシィのCVTソレノイドバルブ故障修理 変速ショックや変速不良も P2762」のタイトル。この記事と同じ症状だろう、とご相談いただいたわけです。
実はお問い合わせの前に、「エンジンオイルを替えればエラーが消えるかもしれない」と、オイル交換も試されていたそうです。それでも警告は消えず、当店へのご相談となりました。まずはできることから試してみる。そのお気持ちはとてもよくわかります。
診断を進めて見えてきたのは、CVT内部のソレノイド2個の同時不良。点灯中のコードは、ご覧いただいた記事のP2762とは別のP2764。さらに「履歴」として残っていたコードの先にも、壊れたソレノイドが隠れていたわけです。
車両情報・ご依頼内容
松本市からは、お客様ご自身の運転でのご来店です。
● 車種:スバル フォレスター(DBA-SJ5)
● 年式:平成26年3月
● 走行距離:136,137km(入庫時)
● 症状:変速ショック、警告灯の点灯
● ご依頼内容:警告灯の原因診断と修理
入庫時のメーターがこちら。AT OIL TEMPに加えて、ABSやVDC、アイサイト関連の警告までずらりと並ぶ状態。

マルチファンクションディスプレイにも、点検を促すメッセージが次々と。


確認走行でも、変速時のショックがはっきりと出ていました。お問い合わせの内容どおりの症状というわけです。
診断と原因特定
まずは診断機で、全システムの状態を確認してまいります。

ミッション(TCM)に記録されていたのは、次の2つ。
● P2764 ロックアップソレノイド系回路(Low) ステータス:現在
● P0971 圧力制御ソレノイドC系回路(High) ステータス:履歴
ご覧いただいた記事はP2762の事例でしたが、今回実際に記録されていたのはP2764とP0971でした。スバルのCVTでは、P2762・P2763・P2764はどれもロックアップ制御まわりのコードで、症状もよく似ています。症状が同じに見えても、コードまで同じとは限らないわけです。
ちなみに、ABSのC1431 ATや、アイサイトのB2801 TCM異常・B2809 VDC異常は、ミッション側の異常を受けて記録されたもの。アイサイトやブレーキそのものが壊れているわけではありません。警告がいくつも並ぶ仕組みは、同じフォレスターSJ5の別事例で詳しく解説しています。
エンジンオイル交換でエラーが消えなかった理由
エンジンオイルとCVTフルードは、まったく別のオイルです。エンジンオイルを替えても、CVTの中身には影響しません。
さらに今回のコードは、ソレノイドという電気部品の「回路」の異常を示すもの。ざっくり言うと、電気の流れ方がおかしいと制御コンピューターが判断している状態です。部品そのものが壊れている限り、オイルを替えても、コードを消去しても、また同じコードが入ってしまいます。
「履歴」のP0971も見逃さない
ここで大事なのが、ステータスが「履歴」になっていたP0971です。いま点灯中ではないコードなので、見過ごされやすいところ。ただ、過去に一度でも異常を検出したという記録なので、今回は関係するソレノイドもあわせて測定することにしました。
ロックアップソレノイドだけ交換して、しばらくして別のソレノイドの警告が出る。これではいたちごっこになってしまいますしね。
まずはバルブボディを降ろして、ソレノイドの抵抗値を実際に測っていきます。
作業内容
さて、作業開始。今回のフォレスターは、ストラットタワーバーや吸気系に手が入った一台。慎重に作業を進めます。

フォレスターSJのCVTは、エンジンルーム側からバルブボディにアクセスする構造。

カバーを外したところがこちら。


続いて、ソレノイドの抵抗値を測定していきます。まずはP2764が示すロックアップソレノイドから。

結果は7.65kΩ。基準値12Ωの600倍を超える値で、電気がほとんど流れない、断線に近い状態です。これは比較的重症です。
ロックアップソレノイドは、エンジンとミッションを直結させる「ロックアップクラッチ」の油圧をコントロールする部品。ここが正しく動かないと、つながり方がぎくしゃくして、ショックとして体に伝わることがあります。
そして、P0971の履歴とあわせて確認したAWDソレノイドがこちら。

基準値3.2Ωに対して1.1Ω。こちらは逆に、基準の3分の1ほどまで下がっています。コイルの内部でショートが起きていることが疑われる数値です。
AWDソレノイドは、前後輪への駆動力の配分を油圧でコントロールする部品。スバルの4WDの要ともいえる部分です。
ロックアップソレノイドとAWDソレノイドの同時不良で間違いないので、2個とも交換する作業を進めてまいります。
取り付ける前に、新品の抵抗値もチェック。


新品はロックアップ13.2Ω、AWD 4.1Ω。取り外した部品(7.65kΩ・1.1Ω)との差は歴然ですね。

ソレノイドを交換したバルブボディを組み付けていく。カバーのガスケットも新品に交換です。

仕上げ・確認作業
組み付けが終わったら、診断機でAT学習値をクリアし、AT学習を行います。


試運転を終えたら、もう一度すべてのシステムをスキャン。

結果は――
入庫時に6件あった故障コードは、すべて0件に。あれだけ並んでいた警告灯も、嘘のように消えました。

これで修理は完了となります。
よくあるご質問
Q. エンジンオイルを交換すれば、CVTの警告は消えますか?
消えません。エンジンオイルとCVTフルードは別のオイルで、CVTの警告には影響しないためです。P2764やP0971のようなソレノイド回路のコードは、部品の不良が残っている限り、消去してもまた記録されます。
Q. 故障コードが1つでも、複数のソレノイドを交換することはありますか?
あります。今回も、点灯中のコードはP2764だけ。ただ、履歴にP0971が残っていたため、関係するソレノイドも測定したところ、AWDソレノイドも1.1Ω(基準3.2Ω)と異常値でした。コードの状態と実測値の両方を見て、交換する部品を決めたわけです。
Q. P2764が出たら、CVTの載せ替えが必要ですか?
今回のケースは、ソレノイド2個の交換とAT学習で改善。当店で扱ったP2764の事例では、ソレノイドの不良が原因のケースが多いです。ただし、CVT本体の内部に損傷がある場合は別の対応が必要になるため、まずは診断で原因を切り分けることが大切です。
今回の作業まとめ
● 車種:スバル フォレスター(DBA-SJ5)
● 年式:平成26年3月
● 走行距離:136,137km(入庫時)
● お客様の地域:長野県松本市(自走でご来店)
● 症状:変速ショック、AT OIL TEMP・ABS・VDC・アイサイトなどの警告
● 検出DTC:P2764 ロックアップソレノイド系回路(Low)/P0971 圧力制御ソレノイドC系回路(High・履歴)
● ロックアップソレノイド:7.65kΩ → 新品13.2Ω(基準12Ω)
● AWDソレノイド:1.1Ω → 新品4.1Ω(基準3.2Ω)
【作業内容】
● バルブボディ脱着
● ロックアップソレノイド交換
● AWDソレノイド交換
● カバーガスケット交換
● AT学習値クリア・AT学習
● 試運転・全システム再診断(故障コード0件)
ご依頼ありがとうございました。
丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業にどうしても時間がかかってしまいます。
急いで作業を行えばヒューマンエラーにもつながりますし、ミスを無くすためにも3日から1週間程度のお時間をいただいております。
どうぞご協力お願いいたします。
● 初めての問い合わせで不安な方
● 車の修理をしたいけど迷っている方
● どこのお店に依頼していいかわからない方
経験豊富な整備士が適切なアドバイスをいたします、遠慮なさらずにお問い合わせください。
同じ症状でお困りの方へ
「変速ショック」「回転数が高い」「警告灯点滅」などの症状は、ミッション本体の故障と思われがちですが、実際にはセンサーやバルブボディが原因のケースがほとんどです。
車種・型式/症状の出る条件(いつ・どんな場面)/警告灯や表示内容/DTC(分かれば)をお知らせいただくとご案内がスムーズです。
▼ スバルAT/CVTの修理方針・Q&Aはこちら
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お問い合わせ・ご相談
P2764・P0971などCVTのソレノイド異常でお困りではないですか?
変速ショックやAT OIL TEMPの点灯など、スバルCVTのトラブルは、ミッション本体ではなく内部のソレノイドが原因のことが多くあります。当社では、高額なミッション載せ替えではなく、ソレノイドの実測とピンポイント交換で症状の改善を目指します。
お電話でのご相談:0480-47-0739
(受付時間 火~土 9:00~17:00)
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