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Flex Korhex導入のお知らせ|ECUロックで触れないベンツ・プジョー・シトロエン他に対応|随時更新

E220dやGLC220d、G350dなど、メルセデス・ベンツの比較的新しいディーゼル車の一部は、エンジンECUに強いプロテクション(ロック)がかかっていて、データの読み出しすらできない状態でした。AdBlue警告やNOxセンサーのトラブルでお困りでも、ECUに入れなければ調整のしようがありません。正直なところ、これまで当社でも手が出せない領域だったわけです。

今回、当社のメインツールであるFLEX(Magic Motorsport社製)に、拡張ハードウェア「Korhex」を追加導入しました。これにより、ロックのかかったベンツのECUをはじめ、プジョー・シトロエン・DSやフィアット デュカトなどのECUにも、基板への負担が少ない方法でアクセスできるようになっています。

Korhexを使った実車での施工はこれからです。対象になりそうなお車にお乗りの方、高額な見積もりを前に悩まれている方は、ぜひ早めにご相談ください。

FLEXの拡張ハードウェアKorhexとFLEX本体

中央のケースが新たに導入したKorhex。左はFLEX本体とFLEX BOX

Korhexでできるようになったこと

ざっくり言うと、最近のECUは中のマイコン(小さなコンピューター)に「鍵」がかかっていて、外部からデータを読み書きできないように守られています。改ざんを防ぐための仕組みなので、メーカーとしては当然の対策ですね。

この鍵を開ける方法の一つが「ブートグリッチ」です。マイコンが起動する瞬間にわざと一瞬の乱れを与えて、読み書きできる状態に入る技術のことです。FLEXでは2026年の夏から、この方法でロック付きECUを解除できる機種が増えてきました。

ただ、従来の方法には弱点もありました。ECUによっては基板上の部品を取り外す必要があり、接続にかかる時間も10秒で済むこともあれば25分かかることもあるなど、ばらつきが大きかったわけです。さらに、ベンツのロック付きECUは、そもそも従来の方法の対象外でした。

Korhexは、ECU基板上のマイコンの決まった位置に専用の治具を当て、電磁的な方法でこの「乱れ」を与える装置です。FLEXの手順に沿って作業を進めます。

● 基板の抵抗を取り外す(はんだ作業)必要がない
● ブート用の配線を手作業でつなぐ必要がない
● 基板を裏返して作業する必要がない
● 内部フラッシュ・EEPROMの読み書き、フルバックアップに対応

メーカーの公表値では、マイコンへの接続が10〜40秒ほど、データの読み出しと書き込みがそれぞれ2分前後とされています。要するに、ECU基板への負担が少ないやり方で、安定してロックの奥まで入れるようになったわけです。

ECUはとても繊細な部品で、はんだごてを当てる回数が増えるほど破損のリスクも上がります。整備グループ内でも作業中の破損報告は耳にしますので、この違いは現場として大きいです。

FLEXとKorhexの作業環境

FLEX・Korhex・作業用PCをそろえた作業環境

Korhexの対象になる主な車種

Magic Motorsport社がKorhex対応として公式に発表したECU(2026年10月時点で8回の発表・11系統)と、同社の対応車種リストを照らし合わせ、国内で見かける機会の多い車種を中心にまとめました。

メルセデス・ベンツ ディーゼル(MD1CP001 ロック付き)

今回の導入で一番大きく変わるのがここです。OM654・OM656エンジンを積むディーゼル車が、幅広く対象になっています。

● A・B・CLA・GLA・GLBクラスの180d/200d/220d
● Cクラス(W205)
● Eクラス(W213)
● CLS(C257)
● GLC(X253/C253)
● GLE(W167/C167)・GLS(X167)
● Gクラス(W463)350d・400d
● Sクラス(W223)
● Vクラス・Vito(W447)
● スプリンター(W907/W910)

当社でご相談の多いE220d・GLC220d・G350dも含まれています。これらの車種でも、ロックのかかっていないECUであれば、これまでも作業を行ってきました。ただ、同じ車種でもロック付きのECUを積んだ個体には手が出せなかったわけです。今回広がったのは、まさにその部分になります。

プジョー・シトロエン・DS(MD1CS003 ロック付き)

● プジョー リフター・208・2008・308・3008・5008・508
● シトロエン ベルランゴ・C3・C3エアクロス・C4・C5エアクロス
● DS3・DS7クロスバック

主に1.5L BlueHDiが対象です。このECUは従来の方法でも解除できましたが、基板上の部品を取り外す必要がありました。Korhexでは部品を外さずにアクセスできるため、ECUへの負担を減らせます。

商用車・トラック

● フィアット デュカト(2.2L マルチジェット/MD1CS069)
● メルセデス・ベンツ トラック アクトロス・アロクス・アテゴ(CPC5/2020年以降)
● DAF トラック(Delphi ETC3)

キャンピングカーのベース車として人気のデュカトは、メーカーの発表でも対応例として名前が挙がっています。

ちなみに三菱ふそうキャンターは、対応車種リストに8代目(4P10エンジン)がMD1CS069として載っています。当社でこれまで作業してきた国内のキャンターは、2011〜2015年式のEDC17CP52や、より新しいモデルのEDC17C49というECUで、こちらはKorhexを使わなくても従来から対応しています。比較的新しい年式の国内キャンターにMD1CS069が使われているかどうかは、現時点では確認できていません。お車ごとにECUを確認させてください。

ガソリン車

● メルセデス・ベンツ AMG 43/45/53系など(MG1CP002)
● プジョー・シトロエン・DSの1.2L PureTech(MG1CS032)
● ポルシェ 911(992)・718ケイマン/ボクスターの一部(MG1CP007/MG1CS047)

ECUチューニングなどのご相談も、まずは対応可否の確認からお受けします。

BMW・ランドローバー・VW・アウディについて

これらのメーカーのロック付きECUは、Korhexの対象ではありません。ただ、FLEXにはKorhexとは別の方式が用意されていて、当社のFLEXはその方式も使える契約になっています。

● BMW・MINIのロック付きECU(MD1CP032・MD1CS001など)は、ECUを開けずにピン接続で作業する方式がFLEXに用意されています
● ランドローバー・ジャガー、VW・アウディの一部ECUは、Korhexではない従来のブートグリッチ方式の対象になっています

実際に作業できるかどうかは、ECUの品番やソフトウェアによって変わります。気になるお車は、車両ごとに確認いたしますのでお気軽にお問い合わせください。

なお、ここに挙げた車種なら必ず作業できる、というものではありません。同じ車種でも、国や年式によってECUの仕様が違うことがあるため、ECUのソフトウェアやハードウェアによって対応できる・できないが分かれます。まずは事前の確認をさせてください。

対応できるか確認する方法

ご相談の際は、次の情報をお送りいただけるとスムーズです。

● 車検証の写し(型式・年式の確認用)
● メーター内の警告表示の写真
● ECUのラベルの写真(分かる場合のみ)
● ディーラーさんや他店での診断結果・見積もり(あれば)

ECUのラベルとは、メーカー名や品番が書かれたシールのことです。場所が分からなくても問題ありません。お車の情報から当社で確認していきます。

遠方の方は、地元の整備工場さんでECUを取り外していただき、ECU単体をお送りいただく形でも対応しています。Korhexを使う作業はECUを車両から外した状態で行うため、郵送でのご依頼と相性がいいわけです。

早めのご相談をおすすめする理由

AdBlueの警告は、残り走行距離のカウントダウンが進むと、最終的にエンジンの再始動ができなくなります。表示が0kmになってからでは、レッカーでの移動やECU取り外しの段取りなど、どうしても手間と時間が増えてしまいます。

NOxセンサーは1つ10万円前後で、エンジンによっては2〜3個使われています。AdBlueタンク内のセンサーやポンプとなると30〜50万円になることもあり、部品が欠品していて入荷待ちになるケースも少なくありません。

カウントダウンに余裕があるうちにご相談いただければ、部品交換と調整のどちらが合っているかを、落ち着いて比較していただけます。

よくあるご質問

Q. 自分の車がKorhexでの作業に対応しているかどうか、どうすれば分かりますか?
A. 車検証の写しと、メーター内の警告表示の写真をお送りください。ECUのラベル写真があれば、より正確に確認できます。同じ車種でもECUの仕様で対応可否が変わるため、作業前に必ず確認を行います。

Q. BMWのロック付きECUもKorhexで対応できますか?
A. BMW・MINIのロック付きECUはKorhexの対象ではありません。ただ、FLEXにはECUを開けずにピン接続で作業する別の方式が用意されていて、当社でもその方式を使える環境があります。ECUの品番をお知らせいただければ、対応できるかを確認します。

Q. ECUのデータが壊れたり、元に戻せなくなったりしませんか?
A. 作業前に必ずオリジナルデータをフルバックアップし、複数の場所に保管しています。Korhexははんだ作業が不要なため、基板への負担も少ない方法です。とはいえリスクがゼロというわけではありませんので、作業前にご説明したうえで進めます。

Q. 遠方に住んでいますが、依頼できますか?
A. はい。地元の整備工場さんでECUを取り外していただき、ECU単体をお送りいただく形で対応しています。取り外しの際の注意点も事前にお伝えします。

Q. 同業者ですが、ECU単体での作業依頼はできますか?
A. はい、業者様からのECU単体でのご依頼もお受けしています。ECUの型式が分かっていれば、お問い合わせの際にお知らせいただくと確認が早くなります。

Q. Korhexを使った作業の実績はありますか?
A. 正直にお伝えすると、Korhexを使った実車での施工はこれからです。FLEXでのECU作業そのものは数多く行ってきましたので、その経験をもとに、最初の数台は工程を一つずつ確認しながら丁寧に進めます。状況はその都度お伝えします。

Q. 部品交換で直す方法と、ECUの調整とでは、どちらがいいのでしょうか?
A. お車の状態、保証の有無、部品の入手状況、今後の乗り方によって変わります。どちらか一方を押しつけることはせず、それぞれの費用と期間をお伝えしたうえで、オーナー様に選んでいただいています。

参考:Korhex対応として発表されたECU

同業者様向けに、Magic Motorsport社がKorhex対応として発表したECUをまとめました(2026年10月時点)。カッコ内はマイコン、FLEXのバージョン、発表日です。

ディーゼル

● MD1CP001(ロック付き):メルセデス・ベンツ(SPC5777/8.17/2026年9月4日)
● MD1CS003(ロック付き):プジョー・シトロエン・DS・オペル・フィアット・トヨタ(TC298/8.23/2026年9月28日)
● MD1CS069(ロック付き):三菱ふそう・フィアット・イヴェコ・ジョンディア・ニューホランドほか(TC299/8.26/2026年10月19日)
● MD1CS089(ロック付き):ドイツファール・SAMEほか(TC299/8.26/2026年10月19日)
● CPC5(ロック付き):メルセデス・ベンツ トラック・フレイトライナー・ウエスタンスター(SPC58/8.18/2026年9月8日)
● Delphi ETC3 UDS:DAF(MPC5566/8.15/2026年8月31日)

ガソリン

● MG1CP002(ロック付き):メルセデス・ベンツ(SPC5777/8.17/2026年9月4日)
● MG1CS032(ロック付き):プジョー・シトロエン・DS・オペル・ジープ(SPC58/8.22/2026年9月25日)
● MG1CP007/MG1CS047(ロック付き):ポルシェ(TC299/8.25/2026年10月7日)
● MG1CA920(ロック付き):BRP社 Can-Am・Sea-Doo・Ski-Doo(SPC58N/8.16/2026年9月2日)

対応するECUは今後のアップデートで増えていく予定です。ここにない型式でも、気になるECUがあればお気軽にお問い合わせください。

今回のまとめ

● FLEXの拡張ハードウェア「Korhex」を導入
● BMW・ランドローバー・VW・アウディは、Korhexとは別のFLEXの方式で個別に確認
● これまで手が出せなかったベンツのロック付きECU(MD1CP001)に対応
● プジョー・シトロエン・DS(MD1CS003)、フィアット デュカト(MD1CS069)も、部品を外さずにアクセス可能に
● はんだ作業や基板の加工が不要で、接続も安定。ECUへの負担が少ない
● 対応可否はECUの仕様で変わるため、まずは事前確認から
● 遠方の方・業者様はECU単体の郵送でも対応可能

なお、当社で行うAdBlue/NOx関連の作業は、故障した部品を新品にする「修理」とは異なり、ECUのプログラムを「調整」または「撤廃」するものです。NOxセンサーの値がわずかにずれただけで警告が出てしまうケースでは、判定の基準となる閾値(いきち)を見直すことで、落ち着いた状態に近づけられることもあります。

部品が入手でき次第、部品交換で正規の状態に戻すという選択肢もありますので、状況に合わせてご提案いたします。また、この分野の技術はまだ発展途上で、ECUの種類やソフトウェアのバージョンによって対応できる内容が日々変わっています。作業内容やお車の使い方については、関係する法令もふまえてオーナー様ご自身でご判断いただく形となりますので、気になる点は遠慮なくお尋ねください。

新しい道具が入ったことで、これまで手が出せなかったお車にも向き合えるようになりました。メルセデス・ベンツ以外でもBMW、フォルクスワーゲン、プジョー・シトロエン・DS、三菱ふそう(キャンター・ローザ)など、商用車を含めて対応可能な場合がありますので、NOxやアドブルーでお困りでしたらお問い合わせお待ちしております。

丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業にどうしても時間がかかってしまいます。どうぞご理解いただければ幸いです。

更新履歴

● 2026年10月 Korhex導入のお知らせを公開

重要な補足説明

毎回お伝えしていますが、この作業は「修理」とは言えないと考えています。

NOx・AdBlueの部品は、どちらも高額なうえに欠品していることが多く、「直したくても直せない」状態でお困りの方を数多くお見受けします。そこで、プログラムを少し“調整”したり、部品が入荷するまで動かせないお車に限って、一部の機能だけを一時的に“撤廃”したりして、お車を使えるようにするのがこの作業です。

エンジンチェックランプが点いている原因がわかっていても、NOxやAdBlueの警告で点灯し続けている状態では、まったく別の重大なトラブルが起きても、ドライバーさんは気づくことができません。

そこで、過敏に反応する設定になっている“閾値(いきち)”に少しだけ幅を持たせ、チェックランプの点灯を一時的に抑えます。本当に重大なトラブルが起きたときに早く気づけるよう、チェックランプ本来の「お知らせ」の役割を取り戻すための作業です。

部品が欠品・納期未定で車が動かせない(スターターロックが作動してエンジンがかからない)ときなどに、部品が届くまでの一時的な緊急対策として行うものです。部品が入荷したら、元のプログラムに戻して部品を交換することをおすすめしています。ご依頼の際は、この点をご理解ください。

この技術は、まだ発展途上です

ほとんどのお車で成功していますが、ごくまれに、エラーが消えない、スターターロックが再び作動するといったことが起こる可能性は、ゼロではありません。

この作業ができるネットワークは、今では10社まで広がり、これからも広がっていく見込みです。お互いに情報を共有し、ときにはトライ&エラーを重ねながら、全員で前に進んでいます。

まだ完璧に仕上がった技術ではないため、その「ごくまれ」なケースに当たり、ご迷惑をおかけしてしまうこともあるかもしれません。そんなときこそネットワークを生かし、施工する仲間たちと知恵を出し合って、精一杯対応いたします。全員が本気で取り組んでいますので、温かく見守っていただければ幸いです。

もちろん、そうしたことが起こらないよう、日々学び、腕を磨き続けています。「依頼してみたい」と思っていただけたら、お気軽にお問い合わせください。

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