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レガシィBP5 SPORT点滅で変速固定|ATコントロールバルブボディを新品交換【P0771】

スバル レガシィツーリングワゴン BP5 2.0GT スペックB リフト上の車両

今回のお車はスバル レガシィツーリングワゴン 2.0GT スペックB(TA-BP5)。平成15年式の5AT車で、走行距離は約77,000kmです。

東京都板橋区のオーナー様が異変に気づいたのは、スポーツモードで走っていたときのこと。メーターのSPORT表示灯が点滅を始め(いわゆるSPORT点滅)、シフトレバーやシフトボタンを操作しても表示は変わりません。その状態でDレンジに切り替えても、メーターの表示がDになるだけで、変速は固定されたまま。異音は感じなかったそうです。

ここからの確認がとても丁寧でした。エンジンをかけ直すと、点滅は続くものの、Dレンジでは変速して問題なく走行でき、バックも問題なし。ところがスポーツモードに入れると、また同じ症状が出る。そこでもう一度エンジンをかけ直し、Dレンジのまま約400km走ってご帰宅されたとのこと。その間、Dレンジでの不具合は出なかったそうです。

走れてしまうからこそ、判断に迷う症状です。修理と合わせて12ヶ月法定点検もご依頼いただき、自動車保険のロードサービスを使って当店からお引き取りに伺いました。

スバル レガシィBP5 ロードサービスの積載車でお引き取り

ロードサービスでお引き取り。積載車に載せて当店へ

診断と原因特定

まずはメーターの確認から。シフト位置はPですが、緑のSPORT表示が出ている状態です。

スバル レガシィBP5 入庫時メーター SPORT表示 77081km

入庫時のメーター。77,081km、緑のSPORT表示が出ている状態

さて、診断機で全システムをスキャンしていきます。

Autel診断機 スバル レガシィBP5 P0771 P1798 診断レポート

Autel診断機の診断レポート。故障コードは全10件

変速機制御(TCM)には、次の3種類のコードが計5件記録されていました(現在と旧を別々に数えています)。日本語の説明は診断機の表示のまま載せています。

P0771 シフトソレノイドE 異常(現在・旧)
P1798 ギア1速及びエンジン・ブレーキ(現在・旧)
P1799 インターロック(旧)

スバル5ATで多いP1710(タービン回転センサー2)ではなく、シフトソレノイドのコードが出ていました。P1798は、1速のエンジンブレーキに関わるコードです。

『シフトソレノイド』とは、バルブボディに取り付けられた電磁弁のことです。バルブボディはATの中で油圧の通り道を切り替える部品で、ソレノイドはその切り替えを実行する役割を持っています。ここに異常が出ると、TCU(トランスミッションコントロールユニット)が狙いどおりに変速を制御できなくなるわけです。

ほかにもECMのP1574(キー通信障害)、IUMのB0221(CAN-HS ECM 無受信データ)、B0402(イモビライザーキー照合NG)、B0500(キーレス UART 通信異常)、CANのU1221(CAN-HS ECM 無受信データ)が記録されていました。ただ、ステータスはいずれも「旧」か「従来」。「現在」と表示されていたのは、TCMのP0771とP1798の2コードだけです。

注目したいのは、400kmを走って帰れたお車でも、この2コードが「現在」のまま残っていた点。Dレンジで症状が出なかった理由までは、今回の診断データだけでは断定できません。ですが、走れることと直っていることは別の話なわけです。

P0771が「現在」の故障として残っていること、そしてスポーツモードで変速が固定されるという症状。この2つから、バルブボディ側の不具合が濃厚です。

なぜバルブボディごとの交換なのか?

当店のブログではセンサーやソレノイド単体の交換事例を多くご紹介していますが、このお車のバルブボディは事情が違います。いつもタービン回転センサーを交換しているタイプとは別の、珍しいタイプ。同じレガシィBP5でも、以前ご紹介したP1710の事例とはバルブボディのタイプが異なります。しかも、このタイプはシフトソレノイドもタービン回転センサーも、部品単体での供給がありません。単体で交換して直す、という選択肢がないわけです。

そこで今回は、新品のATコントロールバルブボディに交換する形で作業を進めてまいります。

自分のお車がどのタイプかを見分けるには?

ご自分のお車がどちらのタイプなのか、気になる方も多いのではないでしょうか。これは車の外見からはわかりません。見分けるには、車両のコーションプレートの確認が必要です。ご相談の際は、コーションプレートの情報もお知らせいただくとスムーズです。

一度は入手できなくなったバルブボディ

このタイプには、部品の供給が途絶えていた時期があります。同じタイプのバルブボディを交換したレガシィB4 3.0R(BLE)の事例を書いた当時は、まだバルブボディの供給があった。ところがその後メーカー在庫がなくなり、事実上、新品は入手できない状態に。メーカーに確認しても、生産再開の目途はないとのことでした。

それからしばらくは修理ができず、中古品で対応してきました。ただ、中古品もいずれ故障することがあり、ご依頼をいただいても修理しづらい状況が続いていました。

状況が変わったのは、2026年11月時点で半年ほど前のこと。メーカーが生産を再開して供給が戻り、いまはメーカーに在庫が十分にあるので修理が可能です。以前、部品の問題で修理をあきらめた方も、一度ご相談ください。

作業内容

まずはATFを抜くところから。車両の下側からの作業です。

スバル レガシィBP5 5AT 作業前のオイルパン

作業前のオイルパン

スバル レガシィBP5 ドレンからATF排出

ドレンから排出されるATF。赤みはまだ残っている

続いてオイルパンを取り外していく。配線の付いたバルブボディが顔を出しました。

スバル レガシィBP5 オイルパン取り外し後のバルブボディ

オイルパンを外した状態。バルブボディが露出

こちらが取り外したバルブボディと、新品のバルブボディ。再生品や中古品ではなく、メーカーが生産を再開した完全な新品です。ストレーナーも新品のバルブボディに付属しているので、一緒に新しくなります。

スバル レガシィBP5 コントロールバルブボディ 新旧比較 オイルパン側

左が取り外したバルブボディ、右が新品。オイルパン側の面

スバル レガシィBP5 コントロールバルブボディ 新旧比較 ソレノイド側

裏返したソレノイド側。左が取り外したもの、右が新品

ご覧のように、外から眺めただけでは内部の良し悪しまで判断できません。だからこそ、判断の手がかりになるのが診断機のデータです。

さて、新しいバルブボディを組み付ける前に、ケース内部をきれいにしていきます。

スバル レガシィBP5 バルブボディ取り外し後のケース内部洗浄

バルブボディを外したケース内部を洗浄

スバル レガシィBP5 新品コントロールバルブボディ取り付け

新品バルブボディを取り付けた状態。合わせ面も清掃済み

続いて、外しておいたオイルパンの清掃です。ATFの色には赤みが残っていましたが、マグネットを見ると様子が違いました。

スバル レガシィBP5 オイルパン内部のマグネット

オイルパン内部のマグネット。黒い摩耗粉とスラッジをまとっている

スバル レガシィBP5 ATマグネットに付着した摩耗粉とスラッジ

手に取ったマグネット。黒い摩耗粉とスラッジがべったり

走行距離は77,000kmほどでも、平成15年式のお車です。ATFの色だけでは、内部の状態まではわからないものですしね。

スバル レガシィBP5 清掃後のオイルパン

清掃後のオイルパン

スバル レガシィBP5 オイルパン取り付け後

オイルパンの取り付けが完了

オイルパンを取り付けたら、新しいATFを入れていきます。バルブボディごと交換したので、ATFも大部分が入れ替わる形です。

仕上げ・確認作業

組み付けが終わったら、診断機の特別機能からメモリクリアを実行していきます。これまでの学習内容をリセットして、新しいバルブボディで仕切り直すための作業。

Autel診断機 スバル レガシィ 特別機能 メモリクリア2

Autel診断機の特別機能。メモリクリア2を選択

Autel診断機 スバル レガシィ メモリクリア2 実行確認画面

メモリクリア2の実行確認画面

ATFの量はレベルゲージで確認。

スバル レガシィBP5 ATFレベルゲージ確認

レベルゲージでATF量を確認

そして試運転へ。スポーツモードに入れても、点滅も変速の固定も出ません。動作に問題なし。

作業後のメーターがこちら。シフト位置がPのまま出ていたSPORT表示が、嘘のように消えました。

スバル レガシィBP5 作業後メーター SPORT表示消灯 77094km

作業後のメーター。77,094km、SPORT表示は消灯

入庫時の77,081kmから13km走った77,094kmの時点で、もう一度全システムをスキャン。

Autel診断機 スバル レガシィBP5 作業後診断レポート 故障コード0件

作業後の診断レポート。全7システムで故障コード0件

結果は――作業後のスキャンでは、P0771もP1798も出ていません。これで修理は完了となります。

参考データ・作業内容

  • 車種:スバル レガシィツーリングワゴン 2.0GT スペックB(TA-BP5)
  • 年式:平成15年5月
  • トランスミッション:5AT
  • 走行距離:77,081km(入庫時のメーター)
  • 症状:SPORT点滅(スポーツモードでSPORT表示灯が点滅)と変速の固定
  • 主なDTC:P0771 シフトソレノイドE 異常、P1798 ギア1速及びエンジン・ブレーキ、P1799 インターロック
  • バルブボディ:シフトソレノイド・タービン回転センサーの単体供給がないタイプ(2026年11月時点でメーカー在庫あり)
  • 作業内容:ATF排出、オイルパン脱着・清掃、コントロールバルブボディ交換(新品・ストレーナー付属)、ケース内部洗浄、ATF補充、メモリクリア、ATF量確認、スポーツモードでの試運転、再スキャン

よくあるご質問

Q. SPORT点滅が出ていても、Dレンジで走れれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言い切れません。今回のお車はDレンジで約400km走行できましたが、診断ではP0771とP1798が「現在」の故障として残っていました。走れる場合でも、早めの診断がおすすめです。

Q. P0771はどんな故障コードですか?

Autel診断機では「シフトソレノイドE 異常」と表示されるコードです。シフトソレノイドは、ATの変速に関わる油圧の切り替えを実行する電磁弁で、バルブボディに取り付けられている部品です。

Q. スバル5ATの不調は、バルブボディ交換が必要ですか?

お車の状態とバルブボディのタイプによって変わります。今回はシフトソレノイドもタービン回転センサーも単体供給がないタイプで、新品のバルブボディに交換しましたが、スバル5ATの変速ショックではP1710が記録され、センサー交換で改善するケースも多いです。故障コードと症状を確認したうえで、一台ずつ判断しています。

Q. 自分の車のバルブボディがどのタイプか、どうすればわかりますか?

車の外見からはわかりません。見分けるには、車両のコーションプレートの確認が必要です。

Q. 入手できなくなっていたバルブボディは、いまは手に入りますか?

2026年11月時点では入手できます。メーカー在庫がなくなり、新品が事実上入手できない時期がありましたが、半年ほど前からメーカーが生産を再開しました。現在はメーカーに在庫が十分にあり、修理が可能です。

ご依頼ありがとうございました。

丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業にどうしても時間がかかってしまいます。

急いで作業を行えばヒューマンエラーにもつながりますし、ミスを無くすためにも3日から1週間程度のお時間をいただいております。

どうぞご協力お願いいたします。

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▼ スバルAT/CVTの修理方針・Q&Aはこちら
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