
今回のお車はスバル フォレスターSJG。富山県にお住まいのお客様からのご依頼です。
「他の整備工場で診てもらったらバルブボディAssy交換で25万円近くかかると言われて…車検も近いし、そんなにお金かけられなくて困っているんです」
走行距離は10万キロをすこし超えたところ。まだまだ現役で活躍できる一台なのに、メーターには複数の警告灯がズラリと並んで点灯。VDC、トランスミッション、ABS、ヒルスタートアシスト…運転するたびに不安を感じる状態が続いていたとのこと。
自動車保険のロードサービスを利用して当社から富山県まで引き取りに伺いました。埼玉から富山まで片道約450km、往復950キロ、時間にして10時間以上です。症状の内容から判断すると、バルブボディ本体ではなく内部のソレノイド不良である可能性が高そうです。
他店では「バルブボディAssy交換しかない」と診断されたようですが、本当にアッセンブリー交換が必要なのか。まずは当店で診断機を使って詳しく確認していくことにしました。
入庫時の症状
入庫時の状況は以下の通りです:
- 走行距離: 103,377km
- 症状: 複数の警告灯が同時点灯
- 他店診断: バルブボディAssy交換(約25万円の見積もり)
- 引き取り: 富山県から自動車保険のロードサービスで当店へ

メーター内には以下の警告が表示されていました:





これだけの警告灯が一斉に点灯していれば、不安になるのも当然です。他店で「バルブボディAssy交換」と診断されたのも無理はありません。
診断と原因特定
診断機で現在の状況を確認。検出されたエラーは、いつもの…
P0971 圧力制御ソレノイドC系回路(High)

このエラーは、トランスミッション内部のバルブボディに取り付けられているAWDソレノイド(圧力制御ソレノイド)の電気的な異常を示すもの。スバルCVT車で複数の警告灯が一斉に点灯するパターンでは、結構な頻度で見かけるエラーです。
AWDソレノイド(圧力制御ソレノイド)は、トランスミッション内部の油圧を制御する重要な部品。このソレノイドに異常があると、TCU(トランスミッションコントロールユニット)が正確な制御を行えなくなります。
すると、安全装置として以下のシステムが連鎖的に警告を出すわけです:
- VDC(ビークルダイナミクスコントロール) → トランスミッションの状態が把握できないため安全制御が働かない
- ABS → 同様にトランスミッション連動の制御ができない
- ヒルスタートアシスト → 坂道発進時の制御に支障
- トランスミッションシステム → 当然ながら本体の異常
今回の車両では、AWDソレノイド(圧力制御ソレノイド)の電気的異常が確認されており、この状態であれば複数の警告灯が同時に点灯する状況が発生しても不自然ではありません。
本当にバルブボディAssy交換が必要か?
他店では「バルブボディAssy交換」という診断。確かに教科書的にはそうなります。
メーカーの整備指針やディーラー修理では、再発リスクや診断時間を考慮し、バルブボディAssy交換が選択されるケースも少なくありません。
一方で今回は、バルブボディを分解し各ソレノイドを個別に測定した結果、AWDソレノイドのみが基準値から大きく外れていることが確認できました。
バルブボディAssy交換となると、部品代だけで18万円超え。工賃を含めると25万円コースです。
それに対してソレノイド単体交換なら10万弱は削減できコスト面でも大きな差が出るわけです。
「まず開けて、測定して、不良箇所だけピンポイントで交換」という方針で作業を進めてまいります。
作業内容
まずはバルブボディを車両から取り外すところから。

バルブボディには複数のソレノイドバルブが取り付けられています。それぞれのソレノイドを個別にテスターで測定し、正常値と比較していく作業です。
どのソレノイドが悪さをしているのか

整備マニュアルではAWDソレノイドの基準抵抗値は3.2Ω。これが正常範囲です。
1つ目、2つ目、3つ目…と順番に測定していくと、ほとんどが基準値に近い正常値を示しています。
問題のAWDソレノイドを測定すると――

160Ω
基準値3.2Ωに対して約50倍という極端に高い値。これは内部のコイルが断線しかけている状態で、P0971のエラーが出るのも当然です。
ソレノイドは電磁石の仕組みで動作します。コイルに電流を流すことで磁力が発生し、バルブが開閉する構造です。
正常なコイルは基準抵抗値(3.2Ω)なので、適切な電流が流れます。しかし内部で断線が起きると、抵抗値が極端に上がり、電流が流れにくくなってしまう。
すると、TCUは「おかしい、この電流値は異常だ」と判断し、P0971のエラーコードを出すわけです。
AWDソレノイド単体交換で対応
診断の結果、バルブボディ本体には問題なし。AWDソレノイド1個だけの交換で対応できることが判明しました。

見た目は同じですが、電気的特性は天と地ほどの差があります。これで修理費用も大幅に抑えられるというわけですね。
続いて、バルブボディを洗浄していきます。

長年の使用で内部に汚れやスラッジが蓄積していることも多いため、丁寧に清掃を行います。せっかく開けたのだから、できる限りきれいな状態で組み直したいところです。


Oリングなどのゴム部品も経年劣化で硬化しているため、新品に交換。こうした細かな気配りが、修理後の耐久性を左右します。
洗浄が完了したら、新品のAWDソレノイドを組み付けて車両に再装着していきます。
仕上げ・確認作業
バルブボディを車両に組み付けたら、最後はAT学習モードを実行。これをやらないと、TCUが新しいソレノイドの特性を認識できず、正常な変速制御ができません。


学習が完了したら、実際に試運転を行って症状が改善されたか確認します。
結果は――
複数点灯していた警告灯はすべて消灯。VDC、トランスミッション、ABS、ヒルスタートアシスト、すべての警告が嘘のように消えました。
なお、CVT内部部品は使用状況や走行距離によって状態に個体差があるため、今後も定期的な点検を行いながら様子を見ていくことをおすすめしています。

参考データ・作業内容
車両情報
- 車種:スバル フォレスター
- 型式:SJG(CVT車)
- 走行距離:103,377km
- 症状:複数の警告灯点灯(VDC、トランスミッション、ABS、ヒルスタートアシスト)
- 検出DTC:P0971(圧力制御ソレノイドC系回路High / AWDソレノイド異常)
測定データ
- AWDソレノイド基準値:3.2Ω
- 不良ソレノイド測定値:160Ω(基準値の約50倍)
- 正常ソレノイド測定値:3.6Ω(基準値に近い正常値)
作業内容
- 診断機による故障コード読み取り
- バルブボディ脱着
- 各ソレノイド抵抗値測定(不良箇所特定)
- AWDソレノイド交換(単体交換)
- バルブボディ洗浄
- Oリング等消耗部品交換
- バルブボディ組み付け
- AT学習モード実行
- 試運転・動作確認
ご依頼ありがとうございました。
丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業にどうしても時間がかかってしまいます。
急いで作業を行えばヒューマンエラーにもつながりますし、ミスを無くすためにも3日から1週間程度のお時間をいただいております。
どうぞご協力お願いいたします。
- 初めての問い合わせで不安な方
- 車の修理をしたいけど迷っている方
- どこのお店に依頼していいかわからない方
経験豊富な整備士が適切なアドバイスをいたします、遠慮なさらずにお問い合わせください。
同じ症状でお困りの方へ
「複数の警告灯が点灯」「トランスミッションシステム点検」「VDC警告」などの症状は、バルブボディ本体の故障と思われがちですが、診断の結果、AWDソレノイド(圧力制御ソレノイドC)の不具合が関与しているケースも少なくありません。
車種・型式/症状の出る条件(いつ・どんな場面)/警告灯や表示内容/DTC(分かれば)をお知らせいただくとご案内がスムーズです。
▼ スバルAT/CVTの修理方針・Q&Aはこちら
👉 スバル AT/CVT 整備・修理ラボ(株式会社Auto Planet)
お問い合わせ・ご相談
P0971など複数警告灯点灯でお困りではないですか?
今回のような複数警告灯の同時点灯は、一見すると大きな故障に思えますが、診断してみると意外にも単一部品の不良だったというケースが多いです。当社では、診断結果を踏まえたうえで、高額なバルブボディAssy交換だけでなく、ソレノイド単体交換という選択肢をご提案しています。
お電話でのご相談:048-798-2922
(受付時間 月~土 9:00~18:00)
修理のお見積もり後、もし金額面でお乗り換えをご検討される場合は
故障した状態のままでも当店で買取が可能です。
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