今回のお車はスバル エクシーガ(YA5)の5AT車。東京都町田市からお越しのお客様で、2速から3速へのシフトアップ時に「ガツン」という変速ショックが出るとのご相談です。
警告灯は一切点灯していない状態。「警告灯もついていないのに、様子がおかしい」というのは、オーナー様にとっても、対応する整備工場にとっても、実は判断に迷うところなんですね。
入庫の経緯と症状
最初に相談したディーラーでは、警告灯が点灯していないことを理由に「様子を見てください」で話が終わってしまったとのこと。実際に変速時のショックを体感していても、目に見えるエビデンス(警告灯)がないと、それ以上踏み込んだ点検にはつながりにくい、というのが実情のようです。
納得のいかないまま、今度は近所の町工場へ。診断機を接続してのエラーコード消去と電装系の点検までは対応してもらえたそうですが、コードを消去したところでセンサー自体の不具合が直るわけではありません。案の定、症状は変わらずそのまま。2箇所を回っても解決の糸口が見えず、症状を調べているうちに当店のブログへたどり着かれた、というご相談でした。
ご入庫いただいたエクシーガ(YA5)がこちらです。

症状の裏付けから、まずは実車での確認からのスタートです。
診断と原因特定
他店で一度エラーコードを消去された状態でしたので、当店であらためて症状を洗い出していきます。2速から3速へのシフトアップのタイミングで、ご相談通りの「ガツン」という変速ショックをこちらでもはっきりと確認。診断機を接続すると、以下のコードが検出されました。
P1710 タービン回転センサー2 回路異常
タービン回転センサー2は、トルクコンバーターを通過したあとの回転、つまりミッション内部に実際に伝わっている回転数をTCU(トランスミッションコントロールユニット)に知らせるためのセンサーです。TCUはエンジン側の回転数とこの数値を突き合わせながら、変速のタイミングや油圧のかけ方を判断しています。ここに誤差が出ると変速のタイミングそのものがずれてしまい、「ガツン」という衝撃として表れてくるわけです。
なお、エラーコードを消去してもセンサー自体の不具合が直っているわけではありません。走行を続ければ同じコードが再度記録されますし、症状も残ったまま。今回もまさにその状態でした。センサーの不良で間違いないので、作業を進めてまいります。
作業内容
まずはATFをドレンから排出するところから。

続いてオイルパンを取り外し、バルブボディの状態を確認していきます。

バルブボディ本体を取り外し、作業台へ。

さて、ここから該当のタービン回転センサー2(ハーネスSUB ASSY)にアクセス。周辺のコネクタ類を分離しながら、配線の取り回しを崩さないよう慎重に進めます。


バルブボディ本体は見える範囲になりますがしっかり洗浄。

洗浄が終わったバルブボディに、新品のタービン回転センサー2(ハーネスSUB ASSY)を組み付け。車両側のミッションケースも、オイルパン合わせ面周辺を洗浄しておきます。


ちなみに、ATFのストレーナー(フィルター)も併せて新品に交換です。オイルパンを開けているタイミングでの交換は、費用対効果の良い部分ですしね。

バルブボディを元通りに組み付けて新品のストレーナーを取り付けます。




仕上げ・確認作業
バルブボディとオイルパンの組み付けが終わったら抜けた分のATFの充填。

その後、診断機での作業がここから2つ続きます。まずは、これまでミッションが学習してきた変速タイミングなどの学習値メモリをクリアする作業から。

センサーが新しくなった以上、古い学習値をそのまま引き継いでも正しい制御にはなりません。メモリクリアとは別の作業として、続けてAT学習モードを実行します。

学習完了後は、レベルゲージでフルードの色味と量をチェック。

その状態で試運転へ。結果は――2速から3速への切り替わりは、嘘のように滑らかになっていました。あれだけはっきり出ていた「ガツン」というショックは完全に消失。これで修理は完了となります。
参考データ・作業内容
- 車種:スバル エクシーガ(YA5) / CBA-YA5
- 年式:平成20年(H20)
- 走行距離:79,000km
- ご依頼エリア:東京都町田市
- DTC:P1710(タービン回転センサー2 回路異常)
- 作業内容:タービン回転センサー2(ハーネスSUB ASSY)交換、ATFストレーナー交換、診断機によるメモリクリア、AT学習モード実行
ご依頼ありがとうございました。
丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業にどうしても時間がかかってしまいます。
急いで作業を行えばヒューマンエラーにもつながりますし、ミスを無くすためにも3日から1週間程度のお時間をいただいております。
どうぞご協力お願いいたします。
● 初めての問い合わせで不安な方
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同じ症状でお困りの方へ
「変速ショック」「回転数が高い」「警告灯点滅」などの症状は、ミッション本体の故障と思われがちですが、実際にはセンサーやバルブボディが原因のケースがほとんどです。今回のように警告灯が点灯していないケースでも、原因がないとは限りません。
車種・型式/症状の出る条件(いつ・どんな場面)/警告灯や表示内容/DTC(分かれば)をお知らせいただくとご案内がスムーズです。
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走行中に突然「ガンッ!」と衝撃が出る5速ATのトラブルは、ミッション本体ではなく内部のセンサーやバルブボディが原因のことがほとんどです。当社では、高額なミッション載せ替えではなく、センサー交換とバルブボディのピンポイント整備で症状を改善します。
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