今回のATF圧送交換はメルセデスベンツS550(W221)ブルーエフィシェンシーロング。

東京都北区のお客様です。
お客様のクルマですので覗くことしかできませんが、ロングモデルとあって後部座席の空間は快適だと思われます。まさにショーファーカーにふさわしいですね。

ご依頼前に伺ったお話では次のようにおっしゃっていました。

最初に感じたのは、つながりのときに変速ショックがあったとのこと。そこまでヒドくはなかったがATF交換をしたら改善するかもと思いました。
ネットで探したお店はトルコン太郎取扱店となっていたので入庫。現在の状況を伝え、トルコン太郎での圧送交換とオイルパンの脱着清掃を依頼。その時添加剤の話も受けたので一緒にお願いをしました。
数日が経過して納車されましたが、自宅までの帰り道で変速ショックが以前より大きくなっていることに気付き、お店に戻り事情を説明。
その時店長から「バルブボディが故障してますね」と言われ、どのような作業をしたか写真もお願いしていたのに「写真は撮り忘れてしまいました」と言います。
この状態で帰るのも嫌でしたので、再度預けてバルブボディの交換をしてもらうことに。この時にも作業内容を知りたいので写真をお願いしました。
作業が終わり取りに行くと、「コンピュータも故障していました」といきなり言われ、写真も撮っていないと言われたそうです。突然のことで、値段交渉もしましたが「すべての作業が終わってしまったので」の一点張り。
泣く泣く料金の支払いを済ませましたが、本当に作業をしてくれたのか疑問だけが残ります。
という経緯がありまして、現状では不具合はないけれど、実際にどのような作業をしてくれたのかもわからないので、「信頼できるお店にもう一度お願いしたい」ということで弊社にご相談いただきました。
こんなにひどいお店があるとはビックリですし、非常に残念な気持ちになります。話を聞いている僕も腹立たしく感じます。
ということで、できる限り、お客様のご意向に寄り添うかたちで今回の作業を進め、わかりやすい説明を心がけています。今回はいつもより写真は多めで長くなってしまいますが作業内容をご覧ください。

それでは圧送交換の準備をすすめます。

まずはアンダーカバーなどをはずしてオイルパンにアクセスできるようにします。

オイルを排出。比較用に少し採取しておきます。


つづいてドレンボルトだけでは排出しきれない分をオーバーフロープラグを打ち抜いて排出します。専用工具を使用してオイルパン内に押し込んでやる感じです。


オイルパンを外します。

バルブボディを下ろす過程でも内部からポタポタとオイルが出てきます。キリがないのである程度のところで取り外しにかかります。

バルブボディがおりました。

8個のソレノイドバルブ取外して洗浄します。

先端のメッシュ部分には鉄粉や不純物が付着しております。動きを妨げたりする事でトラブルを引き起こしますので念入りに洗い流します。

すっかりキレイになったソレノイドバルブ。

オイルガイドパイプ。このようなパーツも新品に交換します。

VGSカプラーOリングは交換。

本体もできる限りキレイに洗浄。

新、旧の比較です。

内部では汚れをたくさんキャッチしてくれていたことでしょう。

これくらいだとマグネットに吸着している鉄粉の量は適正範囲ですね。

マグネットの汚れを取り、オイルパンガスケットも新品に交換。

隅々まで洗浄してバルブボディを取り付ける準備をします。

バルブボディ取り付けボルトは再使用禁止です、新品に交換します。

元通りに組み付けていきます。

オイルパン取り付けボルトも再使用できません。新品に交換です。

次はトルクコンバーターからもオイルを抜き取ります。このクルマはECOスタートストップ機能が装備されていますので、トルクコンバータードレンボルトにアクセスするにはATオイルポンプを取り外す必要があります。


クランクプーリーを回しながらドレンボルトの位置を合わせます。

抜けるまで多少時間がかかります。それにしても交換前なのにキレイな色をしています。

ドレンボルトは交換。

こちらのブーツも交換します。

使用するフルードは純正です。


それでは専用の圧送交換ツールを接続して、抜けた分のATFを充填。

こちらのATF総油量は9リットルに対し、抜けた量は8リットル。約90%はこの時点で入換ができたということになります。

1回目の圧送交換がおわりました、続けて2回目にはいります。

新油でも濃いめのグリーン色しているため、画像では汚れていないように見えても、比べるとやっぱり汚れています。
こんなにキレイになれば完了です。

つづいて油量調整をするため診断機をつないで温度管理をします。この車の油量調整温度は45°であわせます。

オーバーフローをさせて完了です。

そして今回はSDO-1Plusを追加。ATF交換と同時に施工されますと、フィーリングが格段と向上します。

ガスケットを新品に交換して本締めします。

走行テストを済ませ異常がないことを確認。最後に診断機でチェックをするため安定化電源を接続します。

XENTRYをつないでチェック、エラーはありません!


納車前に今回の作業で交換した部品を交えながら、できるだけわかりやすく説明をさせていただいたことで、以前のような不安もなく納得できたようです。

お客様からは下記のコメントをいただきました。

「前回依頼したお店と違い作業の内容や写真で、こと細かく教えていただきとても安心できました。やっぱり、こういう説明や写真があると実感もありますし、またお願いしたいと思います。今後の整備もお願いします。」

とおっしゃってくださいました。

メカニックにとって、こんなにうれしいことはないですし、今後の励みにもなります。

こちらこそ、ありがとうございます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

参考データ・作業内容

メルセデス・ベンツS550(W221)ブルーエフィシェンシーロング
走行距離: 56,900km

ATF圧送交換一式
バルブボディ脱着清掃

・ATオイルパンガスケット交換
・ATFストレーナー交換
・バルブボディ固定ボルト交換
・オーバーフロープラグ交換
・ATオイルパン固定ボルト交換
・オイルドレンプラグシールリング交換
・オイルガイドパイプ交換
・VGSカプラーOリング交換
・トルクコンバータードレンボルト交換
・ATオイルポンプブーツ交換
・ATF(ベルセデスベンツ純正)交換
・SOD-1Plus

■ 今回のご請求額は、177,350 円(税込)となっております。

ご依頼ありがとうございました。
国産車に限らず輸入車でも対応可能な車種は多々ございます。メルセデスベンツ、BMW、ポルシェなど幅広く対応していますので遠慮なさらずにお問い合わせください。

この記事を書いている人

オートプラネット篠塚真介

オートプラネット篠塚真介

埼玉にあるオートプラネットで働くメカニック。
日々、大好きな整備や修理に明け暮れていて、とても充実しています。仕入先でみつけた素敵なクルマや整備・修理の内容を、自分のか細い語彙力で紹介していきます。
何ごとにも探求心のある人に憧れる。