オートマチック変速不良で入庫したハイエースバン(KDH200V)。

お客様からの事前問診では、
「メーター内の3速インジケータランプの点灯と3速~4速に変速しない」
ということです。

メーターのインジケータには不可解なランプが点灯しています。
・Pレンジで3速が点灯
・Rレンジで3速が点灯
・Dレンジで3速が点灯

それとイグニッションオフ、キーを抜いても3速が点灯していることを確認。

お客様の申告通りテスト走行をしてみると症状は4速へ変速しない状況。
3速までは通常通りスムーズに変速できています。
診断機での結果はなにもエラーは入っていません。
ソレノイドバルブ等の不具合があればエラーとして記録されるハズですが、どうやら違うみたいです。
診断機の各項目の確認をしてみると、ECT変速位置の中にあるアクティブテストで強制的に指示を出すことができそうです。
強制的に4速に変更をしてみると、何事もなかったように4速へ変速できています。

オートマチック本体内部の機械的な故障ではなさそうです。

訳のわからない症状が出るときは、電源や信号がECUやATコンピュータにたどり着けなかったり、ショートしていることが経験上、結構ありました。コンピュータの基盤にあるコンデンサの液漏れによる不具合もありますが、その前に配線から点検をしてみます。



が…..あっさり原因を発見。

自動車の電気系統の制御回路等を集約した箱をジャンクションブロックといって、ここには大きなコネクタやリレーなどが纏まっています。この中のコネクタやリレーの端子が接触不良を起こしていました。
これがジャンクションブロックと呼ばれるものです。
その中にあるコネクタが湿気などの水分で青緑色に腐食しているのが見て取れます。
見えづらいですがメス側にも侵食しています。
 

他にもいくつかのコネクタで同じように接触不良を確認。
どうしてこのようになるのかは不明ですが、おそらく助手席の足元にあるので、雨天時にドアの開閉で足元回りが濡れたり、靴が濡れていたりで次第に湿気がたまり腐食が進んでいったのではないかと推測します。
リレーは接触不良部を洗浄してから機能チェックをして問題がなかったのでこのまま使用します。
各部洗浄して接点復活剤を塗布。導通テストもOKですので、これで完了です。
メーター内に点灯していた3速ランプは消灯。
走行テストでは1速 2速 3速 4速への変速は問題ありません、正常に戻りました。
変速異常のトラブル修理はこれで終わりになりますが、ATFの交換のご用命もありましたので続いて作業を行います。
リフトアップをしてオイルパンにアクセスしやすいようにアンダーカバーを取り外します。
比較用に少し採取。
残留しているオイルをこぼさないように、ゆっくりと取り外します。
さすが24万キロの内部ですね。オイルの赤味はなく、黒々とかなり汚れています。
右が取り外した旧ストレーナー、左が新品。
ストレーナー内部には多数の不純物。
やっぱり新しいものはいいですね、気持ちがいいです。

オイルパン底部にあるマグネット。すでに飽和状態をむかえ、役目をはたしていないようです。

しっかり洗浄して新品によみがえらせます。
バルブボディ下側はできるだけキレイに。
新品ストレーナーを取り付けて
オイルパンを組み付けます。
元通り組みあがりました。
トルコン太郎をハイエースと接続。
使用するフルードはアイシン。トランスミッション製造元のオイルなので安心感があります。
まずは抜けた分を充填。
それでは圧送交換を始めます。

244000キロということもあり、当然1回ではきれいになりません。
続いて圧送交換を再スタート。

数回繰り返してもこの状態。ここまでで約20リットルは使用しています。
ここでお客様にご連絡。了解を得てさらに交換を進めます。

かなり新油に近づきましたが、まだ「あずき色」って感じです。ここまでで30リットル。
30リットルも使用した結果、AT内部のオイルの状態はどのようになったかというと、あまり計算が得意ではないので間違っていたら誰か教えてください。
総油量8.3リットルに対して、5リットルずつの圧送交換を合計6回行いました。古いATFの含有量計算をすると0.397の6乗です。

6回の交換で、その中に含まれる古いATFの割合は0.0039。つまり0.39%。ですが圧送交換で抜きながら新油を入れていくので、必ずしも理論通りとはいきませんが、約99%は新油と入れ替わっていることになります。

これ以上は効果が見込めないと判断し、これで終了します。

これで変速不良を含むATF圧送交換の作業が終わりました。

走行テストでは交換前に確認できた変速ショックも感じられず、終始スムーズはフィーリングで気持ちの良い加速となりました。
もう一度リフトアップをして、オイル漏れや取り外したパーツの確認をして完了です。
最後に診断機で各項目のチェック。エラーはなくコンディションは良好です。

今回は3速~4速の変速不良の修理・ATF圧送交換を行いました。24万キロということもあり、ATFの汚れ具合や内部の鉄粉量もかなり多かったため修理と同時にATF交換をされてよかった事例となりました。

劣化しないオイルは存在しないので定期的なメンテナンスは必要になってきます、気になることがございましたらご連絡ください。
ご入庫ありがとうございました。

オートプラネットでは丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業に時間がかかっています。急いで作業を行えばヒューマンエラーということも起こりえます。

ミスを無くすためにもATF圧送交換作業の期間は、3日から1週間程度のお時間をいただいております。

どうぞご協力お願いいたします。

● 車の修理をしたいけど迷っている方
● どこのお店に依頼していいかわからない方
● 初めての問い合わせで迷っている方

経験豊富な整備士が適切なアドバイスをいたします、遠慮なさらずにお問い合わせください。

参考データ・作業内容

トヨタ ハイエースバン (KDH200V)
施工時走行距離: 244000キロ

<AT変速不良修理・ATF圧送交換一式>

・ジャンクションブロック部分コネクタ・リレー端子/洗浄
・ATオイルパンガスケットシーリング
・ATストレーナー交換
・ドレンボルトガスケット交換
・オイルレベルゲージOリング交換
・ATF(アイシン) 30L

■ 今回のご請求額は、123,500 円(税込)となっております。

※同じ内容の整備や故障修理でも、お車のコンディションや部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。
<文章/篠塚真介>
<作業・撮影/篠塚真介>

国産車に限らず輸入車でも対応可能な車種は多々ございます。メルセデスベンツ、BMW、ポルシェなど幅広く対応していますので遠慮なさらずにお問い合わせください。

この記事を書いている人

オートプラネット篠塚真介

オートプラネット篠塚真介

埼玉にあるオートプラネットで働くメカニック。
日々、大好きな整備や修理に明け暮れていて、とても充実しています。仕入先でみつけた素敵なクルマや整備・修理の内容を、自分のか細い語彙力で紹介していきます。
何ごとにも探求心のある人に憧れる。

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