
AdBlue関連のトラブルでご相談いただくケースの多くは、警告表示やチェックランプ点灯をきっかけに、「どこまで走れるのか」「修理はどこまで必要か」が分からず不安になっている段階です。
今回は東京都町田市のお客様より、エンジンチェックランプが点灯しているものの、走行には大きな違和感はないという状態でご相談をいただきました。ご自身でXENTRYを用いて診断されており、「AdBlue充填レベルセンサにプラスへのショートがあります」という故障コードをすでに把握されていたとのことです。
この段階でご相談いただけたことで、警告の進行や関連部品への負担が大きくなる前に、現状を整理したうえで今後の対応方針を検討することができました。

この段階で状態を把握しておくことは非常に重要です。AdBlue/SCR関連の不具合は、初期のうちは走行フィーリングに大きな変化が出ないこともありますが、警告が進行すると選択肢が狭くなる場合があります。違和感が小さいうちに診断し、修理の優先順位を整理しておくことが大切です。
入庫の経緯と症状
お問い合わせをまとめると、以下のような状況でした。
- XENTRYで故障コード「AdBlue充填レベルセンサにプラスへのショート」を確認済み
- NOxセンサーのエラーは今のところ出ていない
- エンジンチェックランプは点灯しているが、走行には大きな違和感なし
- これまでNOxセンサーは洗浄で対処してきた
- 今後の修理方針を検討中
同様の症状でも、故障コードの内容、警告表示の進み方、車両年式や使用状況によって必要な対応は変わります。そのため、まずは現在起きている異常を正確に把握することが重要です。
診断結果:検出された故障コード
XENTRYによる診断で確認できたのは以下のDTCです。
203D17 AdBlue® 充填レベル・センサにプラスへのショートがあります。

SCR(Selective Catalytic Reduction)システム内にあるAdBlue充填レベルセンサ系統に異常があることを示す内容で、センサー本体の故障だけでなく、配線やコネクタ、タンク内部ユニット側の不具合も含めて考える必要があります。
NOxセンサーのエラーはこの時点では記録されていませんでしたが、AdBlue/SCR系統は複数の部品が連携して動作するため、ひとつの異常をきっかけに別の不具合が表面化することもあります。だからこそ、故障コードを単体で見るのではなく、全体の状態を踏まえて判断することが大切です。
修理方針の考え方:まずは故障箇所と現実的な選択肢を整理
「センサー1つを交換すれば解決するのでは?」——まず最初に検討すべきなのは、もちろん純正に準じた修理です。今回のような故障コードでは、充填レベルセンサ本体の不良だけでなく、配線やコネクタ、タンク内部ユニット側の問題が関係している可能性もあります。
一方で、実際の現場では部品価格・供給状況・車両年式・今後の維持方針を踏まえて判断しなければならない場面も少なくありません。AdBlue/SCR 系統は複数の部品が連携して動作するため、ひとつの故障をきっかけに別系統の不具合が表面化することもあります。
そのため当社では、まず診断結果をもとにどこまでを修理対象とするのか、今後どの程度の期間・コストで維持していくのかをお客様と整理したうえで、現実的な修理プランをご案内しています。
なお、排出ガス後処理装置は車両の重要な構成要素です。修理方法や使用条件によっては、法令適合・車検適合・公道使用の可否に関わる場合があるため、個別の車両状態と用途に応じた確認が前提となります。
よくあるご質問——今回のご相談に関連して
お問い合わせの中で、今後の修理方針についていくつかご質問をいただきました。同様のお悩みをお持ちの方も多いため、一般的な考え方として整理しておきます。
AdBlue/SCRシステムは排出ガス後処理に関わる重要な装置です。整備内容によっては法令適合や車検適合に関わるため、公開情報だけで一律に判断せず、個別の車両状態を確認したうえでご案内しています。
作業内容:BENCHモードによるECU接続
今回のECUは EDC17CP10(Bosch製)。メルセデスベンツのディーゼルに広く使われているエンジンコントロールユニットです。
車両のオリジナルデータのフルバックアップをとるため、ECUを車両から取り外してベンチで作業します。ECU本体の状態や対応環境に応じて、外部コネクタから接続してデータの読み出し・書き込みを行うケースがあります。


接続が完了したら、まずオリジナルデータのフルバックアップから取り掛かります。万が一の際にも元の状態に戻せるよう、データは複数箇所に保存したうえで慎重に進めます。
電子制御系の作業では、読み出し・書き込みそのものだけでなく、作業前後の確認や復元可能性の確保が非常に重要です。そのため、診断結果と合わせて工程全体を丁寧に管理しながら進めます。


書き込みが進む画面を見守る時間——電子の鼓動が聞こえてくるようです 笑

作業後はECUを車両へ戻し、診断機で最終確認に移ります。
作業後の確認ポイント

作業後は、メーター表示と診断機での状態を確認し、必要に応じて試運転を行いながら異常の有無を確認します。電子制御系の作業では、作業そのものだけでなく、最終確認までを含めて一連の整備として捉えることが重要です。
今回の確認ポイント
- XENTRYにてSCR系統の故障コードを確認
- 充填レベルセンサ系統の異常が疑われる状態
- 現時点では走行に大きな違和感は出ていない
- 警告が進行する前に点検・方針整理ができた
- 今後の維持コストと修理範囲を含めた判断が重要
ご依頼ありがとうございました。
今回のように、エンジンチェックランプが点灯していても走行自体には大きな違和感がなく、「まだ大丈夫そうに見える」段階でご相談をいただくことは少なくありません。
ただし、AdBlue/SCR関連の不具合は警告が進行してからでは選択肢が狭くなりやすく、診断や部品手配も含めて対応が慌ただしくなりがちです。違和感が小さいうちに状態を把握しておくことが、結果的に無駄な出費や時間のロスを抑える近道になります。
当社では、メルセデスベンツをはじめ、BMWやフォルクスワーゲンなどのディーゼル車についても、AdBlue/NOx関連の診断・ご相談を承っています。まずは現在の警告内容や故障コードを確認したうえで、現実的な修理方針を一緒に整理していきます。
ひとつひとつの診断と作業を丁寧に進めているため、お時間をいただくこともありますが、そのぶん「何が起きていて、どう直すのが現実的か」を分かりやすくご説明するよう心がけています。
重要な補足説明
毎回お伝えしていますが、この作業は「修理」とは言えないと考えています。
NOx・AdBlueの部品は、どちらも高額なうえに欠品していることが多く、「直したくても直せない」状態でお困りの方を数多くお見受けします。そこで、プログラムを少し“調整”したり、部品が入荷するまで動かせないお車に限って、一部の機能だけを一時的に“撤廃”したりして、お車を使えるようにするのがこの作業です。
エンジンチェックランプが点いている原因がわかっていても、NOxやAdBlueの警告で点灯し続けている状態では、まったく別の重大なトラブルが起きても、ドライバーさんは気づくことができません。
そこで、過敏に反応する設定になっている“閾値(いきち)”に少しだけ幅を持たせ、チェックランプの点灯を一時的に抑えます。本当に重大なトラブルが起きたときに早く気づけるよう、チェックランプ本来の「お知らせ」の役割を取り戻すための作業です。
部品が欠品・納期未定で車が動かせない(スターターロックが作動してエンジンがかからない)ときなどに、部品が届くまでの一時的な緊急対策として行うものです。部品が入荷したら、元のプログラムに戻して部品を交換することをおすすめしています。ご依頼の際は、この点をご理解ください。
この技術は、まだ発展途上です
ほとんどのお車で成功していますが、ごくまれに、エラーが消えない、スターターロックが再び作動するといったことが起こる可能性は、ゼロではありません。
この作業ができるネットワークは、今では10社まで広がり、これからも広がっていく見込みです。お互いに情報を共有し、ときにはトライ&エラーを重ねながら、全員で前に進んでいます。
まだ完璧に仕上がった技術ではないため、その「ごくまれ」なケースに当たり、ご迷惑をおかけしてしまうこともあるかもしれません。そんなときこそネットワークを生かし、施工する仲間たちと知恵を出し合って、精一杯対応いたします。全員が本気で取り組んでいますので、温かく見守っていただければ幸いです。
もちろん、そうしたことが起こらないよう、日々学び、腕を磨き続けています。「依頼してみたい」と思っていただけたら、お気軽にお問い合わせください。
オートプラネット 篠塚
AdBlue・NOx関連の警告でお困りの方へ
「チェックランプが点いた」「AdBlue関連の警告が出た」「このまま乗って大丈夫か分からない」——そんなときは、まず現在の状態を整理することが大切です。
故障コードや警告表示の内容によって、優先して確認すべきポイントは変わります。部品交換が必要なのか、配線や関連部品まで点検すべきなのか、診断結果をもとにご案内いたします。
遠方の方も、まずは車種・年式・症状・故障コードをご連絡ください。現在の状態を整理し、点検や修理の進め方をできるだけ分かりやすくご説明します。
「修理」ではなく「調整/撤廃」という選択
今回の作業は、故障した部品を新品に交換する「修理」ではなく、AdBlueシステムそのものを無効化する「調整」です。
この方法には以下のような特徴があります:
- 高額な部品交換費用を抑えられる
- 部品の入荷待ちで車が使えなくなる期間がない
- 今後のAdBlue関連トラブルから解放される
一方で、排ガス規制の観点からは「閾値(いきち)を調整している」という位置づけになります。
AdBlue部品が入荷次第、正規の修理に戻すことも推奨しています。ただし現実問題として、部品の欠品状況や費用面から、多くのお客様が調整での対応を選択されているのが実情です。
※ 当社の技術も日々発展途上です。整備グループ内でノウハウを共有し、より良い対応方法を模索し続けています。AdBlueシステムの問題でお困りの際は、現状と選択肢を丁寧にご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
故障で動かせないときは、引き取りに伺います
ご加入の自動車保険(任意保険)のロードサービスを使って、ご自宅や現地から当店までレッカーで搬送できます。遠方の方もご相談ください。
- ご利用は無料
- 等級に影響なし
- 保険料に影響なし
こんな症状のときに
修理後の納車や、修理期間中のレンタカーも、保険の付帯サービスで使える場合があります。
内容はご加入の保険によって異なります。お手元に保険証券をご用意のうえ、必ず事前にご相談ください。
修理費用によっては、お乗り換えも選択肢です。故障したままの状態でも買取できます。
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