メルセデスベンツ C220d をはじめとするディーゼル車で多発しているのが、AdBlue(アドブルー)警告が消えない症状とシステムの機能障害です。

「エンジンチェックランプが点灯して消えない」「走行可能距離に制限がかかっている」というご相談を多数いただいています。

今回は、埼玉県のお客様よりエンジンチェックランプ点灯についてお問い合わせがあり、診断の結果、AdBlueシステムの複合的な機能障害が確認された事例をご紹介します。

メルセデスベンツC220d 入庫車両

メルセデスベンツC220d(W205)走行71,300km

入庫の経緯と症状

メルセデスベンツC220d(型式:LDA-205004、平成28年6月登録)、走行距離71,300kmの車両です。

お客様からのご相談内容:

  • エンジンチェックランプが点灯して消えない
  • メーター内に警告メッセージが表示される
  • 走行可能距離に制限がかかっている

メーター内警告表示 走行可能距離

メーター内には「760km以内にエンジン始動不可」という表示

残り走行距離が0になると、最終的にはエンジン再始動ができなくなってしまいます。

ディーゼル車のAdBlueシステムは、排ガス規制に対応するための重要な装置ですが、センサーやポンプ、コントロールユニットなどの複数の部品で構成されているため、経年劣化により複合的に故障するケースが多く見られます。

診断結果:検出されたDTC

診断機(XENTRY)で確認したところ、以下の故障コードが検出されました。

診断機画面 故障コード一覧

診断機で確認。複数のAdBlue関連DTCが検出されています

検出されたDTC:

  • P14D300:AdBlueコントロール・ユニットに機能障害があります
  • P13E400:AdBlueシステムの機能障害のため、残りの走行距離が制限されています
  • P204F98:AdBlueシステム(シリンダバンク1)に機能障害があります。内部の構成部品の故障があります
  • P13DF09:AdBlueシステムに機能障害があります。構成部品の故障があります

4つもの故障コードが同時に記録されている状況。これはAdBlueシステム全体に問題が広がっている証拠です。

単一の部品交換では解決しない可能性が高く、AdBlueタンク内部のポンプやセンサー、そしてNOxセンサーなど、複数の部品を同時交換する必要が出てきます。

OM651エンジンは、メルセデスベンツのディーゼル車で広く使われているエンジンですが、AdBlueシステムの故障が多発していることでも知られています。C220d、E220d、GLC220dなど、多くの車種で同様のトラブルが報告されているわけです。

原因:AdBlueシステムの複合的な経年劣化

なぜこのように複数の部品が同時に故障するのか。

AdBlueシステムは、尿素水を使った排ガス浄化装置です。尿素水は高温にさらされる環境で使用されるため、以下のような問題が起きやすいのです:

  • AdBlueタンク内のポンプやセンサーの劣化
  • NOxセンサーの鈍化や断線
  • 配管内での尿素水の結晶化
  • コントロールユニットの通信エラー

これらが複合的に発生すると、今回のように複数のDTCが同時に記録される状況になるわけです。

部品交換の現実とお客様の決断

仮にディーラーさんで修理する場合、以下のような費用が予想されます:

  • NOxセンサー(2~3個):1個あたり10万円前後 → 合計20〜30万円
  • AdBlueタンク内部品(ポンプ・センサー類):30〜50万円
  • 工賃・診断料:数万円

合計で50〜80万円以上の見積もりになることも珍しくありません。

さらに問題なのは、部品の調達です。AdBlue関連部品は世界的に欠品が続いており、本国にも在庫がないケースがあります。入荷待ちの間は車が使えないという状況に陥ってしまうわけです。

お客様とご相談した結果、今回はAdBlueシステムの無効化プログラムで対応することになりました。

解決策:AdBlue撤廃プログラムの施工

作業内容は以下の通りです:

1. ECU(エンジンコントロールユニット)の取り外し

ECU取り外し作業

静電気に注意しながらECUを取り外します
エンジンルームからECUを慎重に取り外し。ECUは電子部品の塊ですので、静電気による破損を防ぐため細心の注意を払います。

2. オリジナルデータの読み出しとバックアップ

ECUデータ読み出し開始

オリジナルのECUデータを読み出し中

FLEXを使ってECU内部のデータをすべて読み出します。このオリジナルデータは、万が一のトラブルに備えて複数箇所にバックアップを取る体制を整えています。

データは紛失や消失しないように各所にバックアップをする体制を整えていますので、ご安心ください。

3. AdBlue無効化データの作成と書き込み

データ書き込み準備

ECUを接続してデータ書き込みの準備
読み出したオリジナルデータを元に、AdBlueシステムを無効化するデータに変更。そして再度ECUに書き込みます。

データ書き込み中

FLEXでデータを書き換え中。電子の鼓動が聞こえてくるようです 笑

書き込み完了確認

無事に書き込み完了です

4. ECUを車両に戻して最終チェック

診断機で最終確認

診断機で最終チェック。故障メモリまたは故障コードがメモリされていません
ECUを車両に取り付けて、診断機で最終確認。先ほどまで4つものDTCが表示されていた画面が、今は真っ白。「故障メモリまたは故障コードがメモリされていません」という表示が出れば完璧です。

5. 試運転で動作確認

メーター内警告消灯

メーター内の表示も「故障はありません」ですって

あれだけ警告が出ていたメーターが、今は「故障はありません」の表示。

最後は20、30キロほど試運転をして、エンジンの吹け上がり、加速感、異音の有無などを確認して完成となります。

作業後の結果とお客様の反応

お客様にお渡しする際、

「もう警告は出ないんですよね?本当に大丈夫ですか?」

と何度も確認されました。それだけ不安だったのでしょう。

「大丈夫です。AdBlueシステムは完全に無効化されているので、今後このエラーが出ることはありません」

とお伝えすると、ようやく安心されたご様子でした。

今回の作業結果まとめ:

項目 作業前 作業後
警告灯 エンジンチェックランプ点灯 完全消灯
メーター表示 「760km以内にエンジン始動不可」 「故障はありません」
DTC 4件のAdBlue関連エラー 0件
修理費用(想定) ディーラー修理:50〜80万円 プログラム調整で大幅削減
作業時間 部品入荷待ち:数週間〜数ヶ月 当日〜翌日完成

今回の作業により、高額な部品交換と長期間の車両預かりを回避し、お客様の日常生活への影響を最小限に抑えることができました。


参考データ・作業内容

  • 車種:メルセデスベンツC220d(型式:LDA-205004)
  • 年式:平成28年6月
  • 走行距離:71,300km
  • 主な症状:AdBlue警告灯点灯、走行距離制限表示
  • 検出DTC:P14D300、P13E400、P204F98、P13DF09
  • 作業内容:ECUデータ読み出し → AdBlue無効化プログラム作成 → データ書き込み
  • 作業時間:約半日~1日

ご依頼ありがとうございました。

今回の作業は部品の調達に時間がかかったり、チェックランプ点灯の裏に隠された重大エラーの事などを踏まえた作業となりますので、ご理解いただければ幸いです。

メルセデスベンツ以外でもBMWやフォルクスワーゲンなども対応可能な場合がありますので、NOxやアドブルーでお困りでしたらお問い合わせお待ちしております。

丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業にどうしても時間がかかってしまいます。

重要な補足説明

毎回重ねてお伝えしておりますが、これを「修理」とは言えないと思っています。

NOxにしてもAdBlueにしても、部品はどちらもかなり高額である上に欠品している事が非常に多く、直したくても直せないという状態に陥っている方を非常に多くお見受けしています。

それをプログラムで少し”調整”してあげたり、部品が入荷するまで運用出来ないお車を一部機能に付いてのみ一時的に”撤廃”作業を施して運用出来る様にするというものです。

いま点灯しているエンジンチェックランプの点灯原因・内容が分かってはいるものの、NOxやAdBlueがチェックランプを点灯させ続けている状態では、全く別の重大なトラブルが発生したとしてもドライバーさんは気付く事が出来ません。

なので、過敏に反応する設定となっている”閾値”(いきち)を少しだけ幅を持たせた値に調整する事でエンジンチェックランプの点灯を一時的に抑えることで、それとは全く別で発症した”本当に重大なトラブル”にドライバーさんが早く気付く事が出来るように、本来の意味としての「エンジンチェックランプ」点灯お知らせ機能を取り戻す作業です。

部品が欠品中で納期未定の為車が動かせない(スターターロックが発動してエンジンがかからない)などの場合での、部品が入るまでの一時的な緊急対策措置である事をご理解いただき、部品が入荷した際には元のプログラムに戻して部品を交換するという事を弊社ではお勧めしております。

同作業をご希望される方は、その辺りをご理解下さい。


この技術・情報はまだまだ発展途上の所もあります。

殆どが成功し続けて行く中、それでもごくごく稀にエラーが消えないとか、スターターロックが再発動するとか、そんな事が起こるのがゼロではありません。

この一連の作業内容ができるネットワークは今や10社まで広がり、まだ更に広がる可能性を含んでいます。そしてお互いに情報を共有しつつ、時にはトライ&エラーを続けながら全員で前に進んでいます。

現況では完璧に仕上がった技術では無い事や、もしかするとその「ごく稀」な案件に当たってしまう事もあるかも知れません。不本意ながらご迷惑をおかけしてしまう事だってあると思います。

そんな時こそそのネットワークを駆使し、施工している仲間たちで知恵を絞り出し合って、精一杯対応させて頂きます。全員が本気で取り組んでいますので、暖かい気持ちで見守っていただければ幸いです。

もちろん、その様な事が起こらない様に、日々学び、日々ステップアップし続けていますので、もし「依頼してみたい」と思って頂けた方は、お問い合わせ下さい。


AdBlueの警告でお困りの方へ

「あと数百キロでエンジンがかからなくなる」という警告。その不安を抱えたまま運転するのは、とてもストレスがかかるものです。

ディーラーさんでの高額修理に悩んでいる方も、まずは一度ご相談ください。

お電話でのご相談:048-798-2922

(受付時間 月~土 9:00~18:00)

メールでの見積もり依頼 >

遠方の方でも、コンピューター(ECU)をお送りいただければ施工可能です。本来の落ち着いた状態で安心して乗れるよう、状況に合わせてアドバイスいたします。

「修理」ではなく「調整/撤廃」という選択

今回の作業は、故障した部品を新品に交換する「修理」ではなく、AdBlueシステムそのものを無効化する「調整」です。

この方法には以下のような特徴があります:

  • 高額な部品交換費用を抑えられる
  • 部品の入荷待ちで車が使えなくなる期間がない
  • 今後のAdBlue関連トラブルから解放される

一方で、排ガス規制の観点からは「閾値(いきち)を調整している」という位置づけになります。

AdBlue部品が入荷次第、正規の修理に戻すことも推奨しています。ただし現実問題として、部品の欠品状況や費用面から、多くのお客様が調整での対応を選択されているのが実情です。

※ 当社の技術も日々発展途上です。整備グループ内でノウハウを共有し、より良い対応方法を模索し続けています。AdBlueシステムの問題でお困りの際は、現状と選択肢を丁寧にご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。

修理のお見積もり後、もし金額面でお乗り換えをご検討される場合は
故障した状態のままでも当店で買取が可能です。

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