ポルシェ968ティプトロニック、ATF圧送交換とエアコンガスクリーニングのご依頼です。
現在の走行距離は37700キロとかなり少なめ。新車登録から28年経過しておりますが、キレイに手入れがされています。この車はフロントにエンジン、リヤにトランスミッションが搭載されている他に類をみないスポーツカーです。

事前の問診ではトルコン太郎との接続可否が不明でしたが、入庫後オイルクーラーラインを確認。すぐにオリジナルの接続ツールの試作に取り掛かります。何度かテストを行い問題ないことが確認できましたので、ひとまず完成です。

それでは作業を進めてまいります。
ドレンボルトを外しフルードの抜き取り。見るからに赤黒く汚れているのが分かりますか?
圧送交換時に比較できるよう少し保存しておきます。
オイルパンからプラ製リザーブタンクを切り離すのですが、年数も経過しているため慎重に作業を行います。

3万キロでもこの汚れ具合。やはり定期的なメンテナンスは必要です。

細かな不純物はストレーナー内部でほとんどキャッチされています。
Oリングを新品に取り換えて、
バルブボディを洗浄後、ストレーナを設置。

それにしても、約30年前のパーツが普通に手に入れることができる供給体制が整っているのは凄いことですよね。これも需要と供給のバランスなのでしょうか?

それとも、輸入車は修理をしながら乗り続けていくという事を念頭においているのかもしれませんね。

気になる鉄粉の量は少なめ。トランスミッション内部のコンディションが良好だというサインでもあります。

オイルパンを洗浄してマグネットは定位置にセット。

ガスケット、Oリングを交換して、
オイルパンとリザーブタンクを元に戻します。
制作したアタッチメントを使用してトルコン太郎を接続。
使用するフルードはペトロナスMV3。(現在は後継のATF500)
    1. ・高い摩耗防止性でギヤを含む部品を保護、耐久性を保つ
    1. ・高温においての酸化安定性が優れ、スラッジ・デポジットを抑制
    1. ・粘度安定性がよく、安定した油膜を形成
オールドポルシェにもピッタリです!
抜けた分のフルードを充填して圧送交換を始めます。

圧送交換の流れは一定量の交換後、自動的に10分間のクリーニングが始まります。そのクリーニングが終わり、そしてまた圧送交換をします。これを繰り返しながら出来るだけ新油に近い状態になるよう、状況に合わせて交換をしてまいります。

向かって左が新油、真ん中が旧油、右が現在トランスミッション内を循環しているフルードです。
新油とほぼ同じくらいキレイにすることができました。
そして油量調整なのですが、この資料がどこを探しても無い!各整備サポートに追い合わせるも、持ち合わせてないとの回答。
それでも何とか入手することができました。ワークショップマニュアルに従って油量調整を実施。
画像ではわかりづらいですがピッタリと合わせています。
続いてPS1000DUOにてエアコンガスのクリーニング。暑い夏に向けて準備万端です。
普段ではあまりかかわることができない貴重なポルシェ。部品の入荷が遅れ1か月以上お待たせしていましたがすべての作業が完了しました。
ご用命ありがとうございました。
丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業にどうしても時間がかかってしまいます。

急いで作業を行えばヒューマンエラーにもつながりますし、ミスを無くすためにもATF圧送交換作業の期間は、3日から1週間程度のお時間をいただいております。

どうぞご協力お願いいたします。

● 車の修理をしたいけど迷っている方
● どこのお店に依頼していいかわからない方
● 初めての問い合わせで迷っている方

経験豊富な整備士が適切なアドバイスをいたします、遠慮なさらずにお問い合わせください。

参考データ・作業内容

ポルシェ 968
施工時走行距離: 37,700 キロ

<ATF圧送交換一式/その他整備>

・ATオイルパンガスケット交換
・ATFストレーナー交換
・ドレンボルトガスケット交換
・リザーブタンクOリング交換
・オイルクーラーラインOリング交換
・ATF (ペトロナスMV3) 20L
・エアコンガスクリーニング

国産車に限らず輸入車でも対応可能な車種は多々ございます。メルセデスベンツ、BMW、ポルシェなど幅広く対応していますので遠慮なさらずにお問い合わせください。