今回のお車はスバル フォレスター(SK9)。平成31年3月登録、走行距離は60,600km。年式も距離もまだ余裕のある、丁寧に乗られてきたことが伝わる一台です。
きっかけは、走行中に突然エンジンチェックランプが点灯したこと。さらにアイサイト(EyeSight)の警告も一緒に出て、メーターには「販売店で点検を受けてください」のメッセージまで表示されたとのこと。
エンジンの警告灯だけでも落ち着かないところに、ぶつからないための安全装備であるアイサイトまで一緒に止まってしまうと、不安は一気に大きくなります。ただ、警告灯はリセットして消すだけでは根本解決になりません。
まずは何が起きているのかを正確に突き止めるところから始めていきます。今回はその切り分けから、原因となったエンジンクーラントバイパスバルブの交換までをご紹介していきます。

入庫の経緯と症状
ご入庫時のメーターがこちら。エンジンチェックランプに加えてアイサイト関連の警告、さらに「販売店で点検を受けてください」の表示が出ています。

エンジン側だけでなくアイサイト側まで警告が出ているので、「何が主因で、どこからの連鎖なのか」をはっきりさせることが先決です。さっそく診断機で切り分けていきます。
診断結果:検出されたDTC
まずは診断機(Autel MaxiSys Elite)で全システムをスキャン。出てきた故障コードは3つでした。

検出されたDTCはこちら。
- P26A6 エンジンクーラントバイパスバルブ「A」位置センサー回路 低(ECM/エンジン)
- B2806 ECM異常(ES/アイサイト)
- B2C22 アイサイトシステム異常(RAB/後退時自動ブレーキ)
3つ並んでいますが、軸になるのは一番上の P26A6。エンジンの冷却水(クーラント)の流れをコントロールする「エンジンクーラントバイパスバルブ」の、位置センサー回路に異常があるという内容です。
残るB2806とB2C22は、アイサイト側・後退時自動ブレーキ側が「ECMに異常が出ている」「アイサイトシステムが正常でない」と検知して記録したもの。アイサイトはエンジン制御(ECM)と協調しながら動いているので、ECM側にトラブルが出ると、それを受けて関連システムにも警告が連鎖して入るケースが多いんです。つまり根っこにあるP26A6を解消すれば、アイサイト側の2コードも一緒に収まる見込み、という見立てになります。
原因:エンジンクーラントバイパスバルブの不具合
あまり聞き慣れない部品かと思いますので、少しだけ補足を。
ひと昔前のクルマは、サーモスタットという小さな機械式の部品で冷却水の流れを調整していました。水温が上がると弁が開いてラジエーター側に冷却水を流す——あの仕組みです。近年は電子制御化が進んでいて、このフォレスターもモーターで動かす部品を採用しています。それがこのエンジンクーラントバイパスバルブです。
ざっくり言うと、冷却水の通り道を電子制御で切り替えるバルブ。エンジンが冷えているときは早く温め、温まってからは適温をキープする。そうやって水温を細かくコントロールすることで、燃費や排ガス性能を最適化しているわけです。
P26A6は、そのバルブの「位置(開度)」を検知するセンサー回路の異常を示すコード。ECMがバルブの状態を正しく把握できなくなると入力されます。今回は症状・状況ともにバルブ本体(位置センサーを含むASSY)の不良で間違いないので、交換作業を進めてまいります。なお、このエンジンクーラントバイパスバルブまわりの不具合は、SK系フォレスターでときどき見られるトラブルでもあります。
作業内容
このエンジンクーラントバイパスバルブ、フォレスター(FB25型エンジン)ではエンジン上部の奥まったところに付いていて、そのままではとても手が入りません。アクセスを確保するため、まずはインテークマニホールドをはじめ周辺の部品を順に外していきます。手数も時間もそれなりにかかる作業です。

クーラントを抜き、配線・配管を慎重に外して、インテークマニホールドを摘出。


これでようやくクーラントバイパスバルブにアクセスできます。


新旧を並べて比較してみます。


新品のクーラントバイパスバルブへ交換し、組み付けていきます。
インテークマニホールドを外した際のガスケットも、再使用はせず新品へ。純正の新品ガスケットを用意しています。


インテークマニホールドを元通りに組み付けます。続いてクーラントを充填してエア抜き。水平対向エンジンは構造上どうしてもエアが抜けにくいので、専用機を使って空気を噛まないよう丁寧に進めていきます。

仕上げ・確認作業
作業後、診断機で故障コードを消去し、もう一度全システムをスキャン。

P26A6はもちろん、連鎖して出ていたアイサイト・後退時自動ブレーキ側のコードもすべて消えています。根本のクーラントバイパスバルブを直したことで関連コードまでキレイに一掃できました。

試運転でも警告の再点灯はなく、エンジンチェックランプ・アイサイト警告ともに点灯しないことを確認。これで修理は完了となります。
参考データ・作業内容
- 車種:スバル フォレスター
- 型式:5BA-SK9
- 年式:平成31年(2019年)3月
- 走行距離:60,673km
- 検出DTC:P26A6(エンジンクーラントバイパスバルブ「A」位置センサー回路 低)/B2806(ECM異常)/B2C22(アイサイトシステム異常)
- 主な作業:クーラント排出 → インテークマニホールド脱着 → エンジンクーラントバイパスバルブ交換 → インテークマニホールドガスケット交換 → クーラント充填・エア抜き → DTC消去・再診断 → 試運転
- 結果:全DTC解消、警告灯すべて消灯
エンジン本体の警告から、アイサイトのような安全装備の警告まで一度に出ると不安が大きいものですが、今回のように一次原因(P26A6)を切り分けて直せば、連鎖していた警告もまとめて解消できるケースは少なくありません。「警告灯がたくさん点いてしまった」というときこそ、まずは正確な診断が近道になります。
ご依頼ありがとうございました。
丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業にどうしても時間がかかってしまいます。
急いで作業を行えばヒューマンエラーにもつながりますし、ミスを無くすためにも3日から1週間程度のお時間をいただいております。
どうぞご協力お願いいたします。
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同じ症状でお困りの方へ
「エンジンチェックランプが点いた」「アイサイトの警告が出た」「販売店で点検をと表示が出る」——こうした症状は、エンジンクーラントバイパスバルブのような電子制御部品やセンサー系統の不具合が背景にあるケースがあります。警告灯が複数同時に出ていても、一次原因を切り分ければまとめて解消できることも少なくありません。
車種・型式/症状の出る条件(いつ・どんな場面)/警告灯や表示内容/DTC(分かれば)をお知らせいただくとご案内がスムーズです。
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エンジンチェックランプやアイサイトの警告は、エンジンクーラントバイパスバルブやセンサー類など、電子制御部品の不具合が背景にあることがあります。当社では、まず診断機で原因を正確に切り分けたうえで、必要な部品をピンポイントで交換することで症状を改善します。
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