BMW X5(F15)のAdBlue警告トラブル

BMW X5(F15)が入庫しました。ディスプレイには「AdBlue補充」「航続距離:538km」の文字。いわゆる走行制限のカウントダウンが始まっている状態です。

「AdBlueを補充したのに警告が消えない」「エラーを消してもすぐ再点灯する」——こうした症状は、単なるAdBlue不足ではなく、NOxセンサーをはじめとしたシステム側の不具合が原因であることがほとんどです。

BMWのSCR(尿素)システムは、AdBlue残量だけでなく、NOx値が正しく測定・判定できているかを綿密に監視しています。そのため、走行距離がまだ浅い車両でも、センサー系の不具合がきっかけで突然カウントダウンが始まるケースが少なくありません。

今回の車両も走行7万キロ台。まだまだ若い車両ですが、NOxセンサー判定の不具合により、AdBlue警告が継続している状態でした。

車両情報とトラブルの状況

  • 車種:BMW X5(F15)
  • 走行距離:77,500km
  • 症状:AdBlue警告カウントダウン(残り538km)

症状の詳細

ディスプレイおよびメーターパネルに、「AdBlue補充」「航続距離:538km」の警告表示が出ています。

この状態では、以下のような挙動になります。

  • AdBlueを補充しても表示が消えない
  • エラー消去をしても再点灯する
  • 走行するたびに航続距離が減っていく

そして、このカウントがゼロになった瞬間、エンジンは二度と始動しなくなります。出先で突然動かなくなったら、レッカー代だけでも数万円。仕事で使っている車なら、業務にも大きな支障が出ます。

BMW X5 F15 AdBlue警告 航続距離表示
メーターパネルに表示された航続距離カウント(538km)
BMW X5 F15 iDrive AdBlue補充警告
ディスプレイ側にもAdBlue補充の案内が表示される

診断結果:NOxセンサー判定の異常

専用テスターを使用してSCRシステムをチェックしたところ、NOxセンサーおよびSCR制御に関するエラーを複数確認しました。

今回のポイントは、以下の3点です。

  • AdBlue量不足を示すエラーではない
  • NOx値が成立せず、システムが正常判定できていない
  • 一時的な通信不良ではなく、継続的に異常を検知している

つまり、AdBlueを補充しても、この警告は消えないわけです。

検出されたDTC(故障コード)

280D00:SCR キャタライザー前の窒素酸化物センサー、信号:窒素酸化物信号、長すぎて無効
29FB00:SCR システム 警告およびシャットダウンシナリオ:警告ステージ1
29FC00:SCR システム 警告およびシャットダウンシナリオ:警告レベル 2
2AC600:SCR システム:効率低過ぎ、品質の良くない尿素-水混合触媒の検知

これらはいずれもSCRシステム、NOxセンサー関連のエラーで、AdBlueを補充しても解消しないタイプのものでした。

BMW X5 F15 SCR NOx関連DTC一覧
診断機で確認したDTC一覧。NOxセンサー系の異常が中心

原因:NOxセンサー不良と判定ロジックのズレ

原因はNOxセンサー不良が濃厚です。

BMWのAdBlueシステムでは、NOxセンサー単体の故障に加え、以下のような複合的な要因が絡み合うことで、部品交換だけでは警告が収束しないケースが非常に多くなっています。

  • センサー内部の経年劣化
  • 判定ロジックと実測値のズレ
  • ECU側の学習値の特性異常

実際、ディーラーでNOxセンサーを交換しても、数ヶ月後に再発するケースが後を絶ちません。10万円以上かけて部品交換をしても、また同じエラーが出る——これでは修理費がかさむばかりで、安心して乗り続けることができません。

今回の車両も、部品交換を前提とした修理では再発リスクが高いと判断し、根本的な対策としてECU調整を実施することになりました。

実施した作業:ECUプログラム調整

今回実施したのは、以下の作業です。

  • ECUプログラム調整
  • AdBlue(SCR)制御ロジックの最適化

いわゆる「AdBlue撤廃」という言葉でまとめられがちですが、実際には警告とカウントが発生する仕組みそのものを整理しています。単なるエラー消去ではなく、今後もカウントが再発しない状態を作ることが目的です。

BMW X5 F15 ECU作業環境
ECU側の作業準備中
BMW X5 F15 プログラム調整中
調整したプログラムの書き込み中
BMW X5 F15 プログラム調整完了
書き込み完了。ここから実車での確認に移ります

作業後の結果:警告完全消灯

プログラム調整後、以下の結果が得られました。

  • AdBlue警告:消灯
  • 航続距離カウント:解除
  • 再始動・走行テスト:問題なし

警告は完全に消灯し、航続距離カウントも解除されました。通常使用において支障のない状態に復帰しています。

BMW X5 F15 警告消灯後メーターパネル
警告消灯を確認。通常状態に戻りました
BMW X5 F15 iDrive 通知なし
ディスプレイ側も通知なし。走行テストでも問題ありませんでした

よくあるご相談

Q:AdBlueを補充しても直りませんか?
A:NOxセンサーやSCR判定が原因の場合、補充では解消しません。今回のケースもAdBlue量は十分でしたが、センサー判定の不具合により警告が出ていました。

Q:部品交換すれば完全に直りますか?
A:改善する場合もありますが、再発するケースが非常に多いのが実情です。特にBMWのNOxセンサーは、交換しても数ヶ月〜1年で再発することが珍しくありません。車両状態によって判断が必要です。

Q:走行距離が少なくても起きますか?
A:はい。今回のように8万km未満でも発生します。走行距離よりも、センサーの経年劣化や判定ロジックの問題が原因になるケースが多いためです。

カウントダウンが始まったら、早めの対策を

BMW X5(F15)のAdBlue警告カウントダウンを、ECU調整で完全に解決しました。

「AdBlueを補充しても警告が消えない」
「ディーラーで高額な見積もりが出て困っている」
「部品交換したのに、また同じエラーが出た」

こうした症状でお困りの方は、カウントダウンがゼロになって不動になる前に、お早めにご相談ください。部品交換で一時的に直しても、再発リスクが高いなら根本的な対策が必要です。

同様の症状でお困りの方は、カウントダウンがゼロになって不動になる前に、お早めにご相談ください。
ご依頼ありがとうございました。
今回の作業は部品の調達に時間がかかったり、チェックランプ点灯の裏に隠された重大エラーの事などを踏まえた作業となりますので、ご理解いただければ幸いです。
メルセデスベンツ以外でもBMWやフォルクスワーゲンなども対応可能な場合がありますので、NOxやアドブルーでお困りでしたらお問い合わせお待ちしております。
丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業にどうしても時間がかかってしまいます。

急いで作業を行えばヒューマンエラーにもつながりますし、ミスを無くすためにも1~2週間程度のお時間をいただいております。

どうぞご協力お願いいたします。

● 初めての問い合わせで不安な方
● 車の修理をしたいけど迷っている方
● どこのお店に依頼していいかわからない方

経験豊富な整備士が適切なアドバイスをいたします、遠慮なさらずにお問い合わせください。
毎回重ねてお伝えしておりますが、これを「修理」とは言えないと思っています。
NOxにしてもAdBlueにしても、部品はどちらもかなり高額である上に欠品している事が非常に多く、直したくても直せないという状態に陥っている方を非常に多くお見受けしています。
それをプログラムで少し”調整”してあげたり、部品が入荷するまで運用出来ないお車を一部機能に付いてのみ一時的に”撤廃”作業を施して運用出来る様にするというものです。
いま点灯しているエンジンチェックランプの点灯原因・内容が分かってはいるものの、NOxやAdBlueがチェックランプを点灯させ続けている状態では、全く別の重大なトラブルが発生したとしてもドライバーさんは気付く事が出来ません。
なので、過敏に反応する設定となっている”閾値”いきちを少しだけ幅を持たせた値に調整にする事でエンジンチェックランプの点灯を一時的に抑えることで、それとは全く別で発症した”本当に重大なトラブル”にドライバーさんが早く気付く事が出来るように、本来の意味としての「エンジンチェックランプ」点灯お知らせ機能を取り戻す作業です。
部品が欠品中で納期未定の為車が動かせない(スターターロックが発動してエンジンがかからない)などの場合での、部品が入るまでの一時的な緊急対策措置である事をご理解いただき、部品が入荷した際には元のプログラムに戻して部品を交換するという事を弊社ではお勧めしております。
同作業をご希望される方は、その辺りをご理解下さい。

この技術・情報はまだまだ発展途上の所もあります。

殆どが成功し続けて行く中、それでもごくごく稀にエラーが消えないとか、スターターロックが再発動するとか、そんな事が起こるのがゼロではありません。
この一連の作業内容ができるネットワークは今や10社まで広がり、まだ更に広がる可能性を含んでいます。そしてお互いに情報を共有しつつ、時にはトライ&エラーを続けながら全員で前に進んでいます。
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もちろん、その様な事が起こらない様に、日々学び、日々ステップアップし続けていますので、もし「依頼してみたい」と思って頂けた方は、お問い合わせ下さい。

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